こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。
漸進性過負荷の原則って聞いたことがあるでしょうか?漸進とは少しずつ増やすって意味ですね。筋トレ界隈の言葉で、筋力トレーニングをする上で、筋力や筋肥大を目指すのであれば少しずつ負荷(バーベルなどの重量や持ち上げる回数など)を増やしていかないといけないよという意味です。
この原則はしばしば、毎回同じ重量と回数でトレーニングをしてる人に向けてそれでは効果が無いですよと指摘するときに引用されます。しかし、実は漸進性、少しずつ増やすってところが重要で、調子が良いからっていつもより無理してかなり重たい重量や多い回数をするのは、長い目でみると行き詰って伸びない結果になるという意味でもあります。
これが何かに似てるなって思いだしたのが不登校のこと。1学期にあまり学校に行けなくなってしまった子どもは、今夏休みで精神的にも休めている時期だと思います。それで2学期からは気合を入れて休まず学校に行くと言って、それで家族も期待するけど、いざ2学期が始まると最初は毎日登校するが、1週間もしたらぱったり行けなくなってしまうのを、よく見かけます。
これは長期休み明けだけの話ではないですね。いつもは短時間登校をしてる子が自分から長時間学校にいたいと言い出して、それを周囲も喜んで希望通り行かせたら、ほんの数日だけで、その後は逆に前より行けなくなってしまうとか。
だから私は不登校、特に部分的(時間や曜日など)にでも登校できている子は本人がもっと行けそうと言っても、逆にセーブして少しずつ増やす方を勧めています。今まで1時間が学校滞留時間であれば、もっと長く夕方まで学校にいたいと子ども本人が言ったとしても、今回は2時間くらいまでにしとくのを子どもに勧めるとかね。
不登校の子には少なくないであろう自閉症スペクトラムであれば、毎日の予定がバラバラになると(本人が希望したものであっても)、落ち着かなくなります。一定のリズムを壊さないようにしながら学校で過ごす時間を増やしていく方が気持ちは安定して、長期的には上手くいくように思います。