栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

不登校において現状維持は前進である

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

現状維持は退化であるとか後退だとか、何人もの偉人が言うとりますが、世の中にはそうでもないことが多々あります、子どもの不登校や引きこもりにおいてもしばしば当てはまります。

 

子どもが不登校になると、周囲の家族も先生も焦りますよね。長引けば長引くほど登校出来なくなるんじゃないか、本人がさぼりたいだけなんじゃないか、問題が解決したら行けるようになるんじゃないか、どっか病院にかかって薬もらった方がいいんじゃないか、などどいろいろ動きますよね。確かに早期の対応は悪いことではないですが、どうにも上手くいかずに煮詰まってしまうことも多いと思います。そういうときに、ちょっと落ち着いて現状を見てみましょう。

 

毎日は朝からは登校できないけど、放課後だけ短時間なら可能か?週に1回なら可能か?学校には行ってないけど、友達と遊びに出ることは出来るか?習い事には行けてるか?家族と買い物には行けるか?外出はしないが家族と食事をともに出来るか?

 

など、今出来てることを確認して、とりあえずそれを確実にキープすることを目指すのも一つです。焦って周囲が動けば動くほどに、本人は追い詰められて行動範囲が狭くなっていってるケースも少なくないです。開き直って、時間がかかっても本人が落ちついて自分から変化するのを待つという手段が良い方に向かうこともあります。

 

自分からの変化が出始めても周りは焦って欲を出してはいけません。1時間だけの約束で登校したときに、本人が希望したからといってすぐに2時間に延ばしてはいけません。本人がそういっても無理せず今日は予定通り1時間で終わりにするくらいの慎重さでちょうど良いと思います。毎朝本人に登校するかどうか決めさせるとか、毎回学校滞在時間を自分で決めさせるとかも止めときましょう。周りは本人の希望に沿ってると思っていても、プレッシャーをかけてるだけのことが多いです。

 

不登校の対応で煮詰まったら、まずは現状維持を目指す。それが出来ていれば、100分の1歩ずつかもしれませんが、前進になっていると考えましょう。