栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

乾燥してしまう前に保湿するのが大切です!

こんにちは。「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

連投失礼します。ブログは書ける時に書かないと、平日仕事後は疲れ切って書けないのです。

 

涼しくというか、肌寒くなってきてますね。湿疹の調子が良かった方も肌が乾燥して、痒みが出てきて、掻いて湿疹が悪化してる子が多いです。まだ暖房使うほどでもないし、それほど空気が乾燥してるわけでもなさそうですが、やはり汗をかかなくなるからでしょうか。今までに何度も書いてますが、湿疹(乳児湿疹、アトピー性皮膚炎)治療は何はなくとも保湿が大事。保湿というのは字のごとく湿度を保つことなので、乾燥してから保湿剤を使っていては遅いです(もちろん塗らないよりは良いですが)。乾燥しかけてるところ、いつも乾燥するところには、先回りして早め早めに保湿剤を使って乾燥状態にしないようにしましょう。

 

いくら保湿剤使っても乾燥するっていう方、一旦皮膚のバリア機能が壊れてしまうと乾燥しやすくなりますが、根気良く保湿してると必ずバリアが正常化して乾燥しにくい肌になっていきます。あきらめずに保湿剤を続けましょう。特にワセリンパックは強力ですのでぜひお試しください(詳細は以下の過去記事参照)。受診されれば純度の高い医療用ワセリンを処方してますが、別にドラッグストアで売ってる安いワセリンで十分です。

 

以下の過去記事も参照ください。

保湿が足りてるかどうかはオムツを開けてみて判断を。そしてワセリンパックの勧め。 - 栗東よしおか小児科の院長ブログ

とっておきの乾燥肌対策!(と思う) - 栗東よしおか小児科の院長ブログ(ワセリンパックのやり方)

シールあげます!

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

受診いただいた外来患者さんには開院以来、ささやか過ぎますがシールをあげたりしてます。当初、製薬会社さんからいただけるのをあげていたのですが、半年ほど前から業界全体の方針(?)で急にいただけなくなりました。せっかく子どもたちが楽しみにしてるのにケチですよね、もっと無駄遣いしてる部分あるでしょうに、講演会の先生の接待費とか。。。

 

そんなわけでシールを購入して配ることにしました。せっかくなので人気キャラクターのシールを選んで買っています。ドラえもんとか妖怪ウォッチとかサンリオ関係とか。そしたらですね、製薬会社がくれる微妙なかわいさのシールと違って、結構な人気みたいです。シールを楽しみにして受診してくれる子もいて、きれいにコレクションしてくれてる子もいるみたいです。たまにあげるの忘れることがあるので、もらえなかったら「シールください!」って言って下さいね。

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時々は母子手帳を開いてワクチンの追加接種時期が過ぎてないか確認しましょう

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

そろそろインフルエンザワクチン接種が始まる時期ですが、その予約時に母子手帳を確認すると、
日脳3回目(2回目から半年から1年後)とか4回目(小4)とか、
四種混合の4回目(3回目から1年後)とか二種混合(小6)とか、
B型肝炎の3回目(1回目から20-24週後)とか、

水痘の2回目(1回目から、3か月から半年くらい)とか、

おたふくの2回目とか、

いったあたりの接種もれが目立つます。

 

これは本当にもったいないことです。特に不活化ワクチン(上記でいうと水痘おたふく以外全部)は1回の接種だけでの抗体獲得はとても弱いのです。規定回数をすべて適切な時期に接種してこそ抗体獲得を出来ることになっています。四種混合や日脳とか1回だけ打ってから何年も経ってしまってると、もう最初のは無かったことにして1から接種しなおしたいと思うんだけど、今の予防接種法ではそれは出来ません。

 

子どもに恐怖を与えてまで接種したワクチンが無駄にならないよう、すべて接種しましょうね。当院で接種されてれば必ず母子手帳のすべてのワクチン欄に鉛筆で接種時期を書き込んでますので、時々は母子手帳のワクチンページを確認するようにして下さい。

ロタワクチンと腸重積と血便

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

ロタワクチンを説明するときに必ず副作用として腸重積という病気のリスクを説明しないといけません。腸が詰まってしまい、ひどいときは開腹手術をしないといけなくなる病気です。これがあって発生リスクが高まる前の乳児期早期にしか接種できないんです。

 

症状として、腹痛(赤ちゃんが自分で腹が痛いとは言えないので断続的な啼泣となるのですが)、嘔吐、イチゴゼリー状の血便とあります。血便は腸が詰まって血流障害となり腸内で出血したものが出るので、順番的には腹痛嘔吐の後に来るはずです。

 

時々、便に血が混じってると慌てて受診される方がいますが、本人は機嫌良くグビグビ飲めてたら腸重積の心配はかなり少ないです。赤ちゃんの少量の血便は時々あります、便で傷がついたのでしょうか、実際血液ではなく離乳食の一部が赤く見えたって事もあります。下痢嘔吐が無く、本人が元気そうなら様子見てて良い事がほとんどです。腸重積も血便が初発症状ってことも10%ほどはあるようなので(なぜなんでしょう、不思議ですが)、一応注意して見てて下さい。

 

とはいえ、月齢が早いほど腸重積のリスクは少ないし、冬の流行に備えるためにも、ロタワクチンはワクチンデビューの2か月になったらなるべく早く、ヒブ、肺炎球菌、B型肝炎と一緒に接種しましょう。

 

なお、実は6週から接種できるんですが、6週になってすぐに接種すると他の2か月からのワクチンが遅れてしまうし(接種後4週あけないと他のワクチンが出来ないから)、2か月未満では上手く飲めないことも多いので2か月からで良いと思います。

てんかんの手術をお願いするときの気持ち

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

てんかん学会の帰りに書いています。毎年ですが、この学会では脳外科の先生のてんかん外科の話があって、毎回聞かされるのが「内科(小児科)が内科治療(薬)で治らないてんかん患者をいつまでも囲って、外科にまわさずに患者を不幸にしてる」っていう論調。一時期よりもだいぶ減ったけど、まだそういう事言う先生がいる。

 

それはわかるんだけど、こっちも不安なんだって。いくら昔と違って安全だって言われても、全身麻酔して頭蓋骨に穴開けて脳を切るんだから、リスクがゼロなんてわけがない。取り返しのつかない合併症が起きたらどうしようって思ってしまうんですよ。かれこれ10人以上、自分の患者さんを手術してもらったけど、どれだけ症例を重ねてもそれは変わりません。自分の手で内科治療で最後まで治したいなんてエゴ、ひとかけらも無いんですよ。

 

それこそ自分の子どもを手術してもらうのと同じ感覚。そこをわかって欲しいなって思います。

喘息かどうかは血液検査ではわかりません!

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

赤ちゃんに離乳食始める前にアレルギー検査して確かめるとか、検査だけで陽性の食物を制限することがどれだけバカげたことかは、私以外にもたくさんの良識のある小児科医が書いて下さっているので、もういいかと思います。(とはいえ、まだしばしばそういう指示をされている患者さんを見かけますが)

 

時々、喘息かどうか調べるためにアレルギー検査をされたとかいう方も見かけます。血液検査で喘息かどうか診断するなんてどの教科書に、どのガイドラインに書いているんだって話です。ひどいのになると目をパチパチさせる(どう見てもチック)からアレルギー性結膜炎かどうか調べるために検査された子もいました。もう、本当にたちが悪すぎる。そんなに検査がしたいのか。

 

私だってアレルギー検査をしますよ、強い発作エピソードや重い症状のある患者さんではどれだけ強い治療が良いか、どれだけ続けるのが良いかなどの参考になりますからね。でも喘息かどうかの診断目的でやることはありません。

 

こんな無意味な苦痛を子どもに与える小児科開業医がなぜ多いのか。答えは簡単。アレルギー検査の診療報酬点数が高すぎるんです。以上。

たかがオムツかぶれとはいえ、ひどくなる前に治療しましょう

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」です。

 

多分、初めてオムツかぶれについて書きます。最近、それほどひどくならない下痢主体の腸炎が地味に流行ってるようで、胃腸症状は軽度だけどオムツかぶれがひどい子をしばしば見かけます。オムツかぶれは他の部分の湿疹とは状態も治療もだいぶ違います。

 

他の部分の湿疹が乾燥肌をベースとして悪化するのに対して、お尻はオムツ内にあって湿った環境にあります。だから、乾燥肌の軽度の湿疹なら保湿剤だけで良くなることもありますが、お尻にぬると余計にベトベトするだけであまり意味が無いのです。なお、ぽっちゃり赤ちゃんの首の湿疹なども同様です。時々、ヒルドイドとかワセリンをせっせと塗ってくれてる方もいて、まあ保護剤としては全く無意味とは言えないと思いますが。

 

オムツかぶれの定番軟膏はエキザルベで、だいたい我々が研修医の時に初めに教わる薬です。一番弱めのステロイドと混合死菌浮遊液なるものが入ってます。この死菌浮遊液はなんだかよくわからないんですが抗菌作用があるそうです。ある痔の定番薬にも大腸菌死菌浮遊液が入ってるので肛門周囲の感染予防になるんでしょうか。

 

オムツかぶれで多いのは、湿った環境なだけあってカビ(真菌)感染を伴う時です。エキザルベを塗ってても一向に治らない時は可能性があります。理論上、カビにステロイドだけ使ってると悪化するので、エキザルベが効かない時は早めに受診しましょう。抗カビ剤を使わないと治りません。

 

私は亜鉛華軟膏をよく使います。これは白いセメントみたいな塗り薬で、余分な水気を取って炎症を抑える効果があります。ステロイドが入ってないので、1日に何度も塗り直すことが出来ますし、仮にカビでも悪化させることはありません(乾かす効果で幾分はカビにも効いてる気もします)。ひどいかぶれで皮膚がえぐれてるような時はこれでもかってくらいタップリ使って病変にフタをするような使い方もします。排便して拭くたびにやります。こうすると下痢便から物理的に保護出来ます。

 

というわけで、軽めのオムツかぶれには亜鉛華軟膏のみで、ちょっとひどい時にはエキザルベをかぶせて、かなりひどい時は上記の亜鉛華軟膏タップリ療法を勧めています。タップリっていうだけだとわかりにくいので、こちらが実演して見てもらってます。これでほとんど皆さん良くなります。先生によって治療は様々のようで、やっぱりワセリンを勧めてる所もあれば、アズノール軟膏を出されてる所もあります。アズノールは効くそうですけど私はあまり使ったことありません。

 

オムツかぶれとはいえ、えぐれるくらい進むとかなり痛そうですよね。ひどくなる前に早めに診せて下さいね。