栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

赤ちゃんのお風呂はぬるめ、短めにしましょう

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。まだまだ看護師、事務、脳波技師募集中です、よろしくお願いします。

 

最近、湿疹が悪くなったという赤ちゃんの受診がとても多いです。でも受診時はそんなにひどくない、聞くとお風呂の後ですごく赤くなると。蕁麻疹が出たという訴えでの受診も多いです(ひどいときの写真を見ると蕁麻疹ではない)。

 

おそらくお湯が熱すぎます!!!寒くなりましたからね、よく温めないと風邪ひくと思われるのでしょうか、結構熱めのお湯に長めに入れておられるようです。赤ちゃんの皮膚は薄くて、大人でちょうど良くても熱すぎてダメージを受けますし(軽くやけどしているかもしれません)、乾燥から守る大事な皮脂も落ちてしまいます。

 

もうシャワーで洗うだけでも良いかもしれませんが、石鹸泡やしわの中の汚れの洗い残しが無いようにザブンと入るくらいはした方が良いでしょう。お湯は38℃くらいで良いと思います。40℃は熱過ぎです。大人だったら冷たくて風邪ひくかもしれませんが赤ちゃんはそのくらいで良いです。

 

世間で思われているほど、子どもが湯冷めや、寒い時に布団を蹴っ飛ばして寝たりすることで風邪ひくことはありません。ちなみに赤ちゃんに風邪をひかせたくなかったら家族が風邪をひかないこと(結局は誰かからのウイルス感染ですから)、部屋の空気を乾燥させずに温めること(ウイルスは低温乾燥環境で活性化するから)を気にして下さい。エアコンで部屋を暖めるとすぐに湿度は下がるので必ず加湿器を併用しましょう。

ちゃんと予防接種してるのに発症してる子が多い?保健所は医療機関のワクチン保存管理状況を確認指導した方が良いと思う

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。しつこいですが、看護師、事務、脳波技師を募集中です。

 

最近、ちょっと水痘が流行ってるみたいです。しかもワクチンをちゃんと2回接種してるにも関わらず発症してる方もちらほら見かけます。一定数は体質でワクチン接種していても効果がない方がいるのですが、ちょっと多い気がします。

 

それで気になってるのはワクチンの管理に関して、特に温度管理。ワクチンを保存するときの温度はワクチンの種類によっても違います。水痘やおたふくかぜワクチンなどの生ワクチンは5℃以下で凍結保存可ですが、ヒブや肺炎球菌などの不活化ワクチンは2〜8℃で凍結不可、インフルエンザやB型肝炎などは10℃まで大丈夫なようですがやはり冷凍不可です。理屈の上では全てのワクチンを2〜5℃で保存すれば良いのですが、なかなかに狭い範囲です。一般の家庭用冷蔵庫ではまず不可能でしょう。

 

当院では大学などの研究室用の保冷庫2台に保存しています。冷凍可能なワクチンは接種前までは冷凍で保存し、不活化ワクチンは庫内の場所によって間違えて凍結しないように少し高めに温度設定した保冷庫に入れています。接種直前のワクチンは全て同じ保冷庫ですが詰め込み過ぎて温度が上がり過ぎたり、逆に冷風が直撃して凍らないように気を遣っています。

 

医療機関によっては普通の家庭用冷蔵庫に無造作に詰め込まれてることもあるようです。インフルエンザワクチンくらいを余裕を持って入れておくには良いかもしれませんが(許容温度範囲が広いため)、生ワクチンを5℃以下をキープして保存するのはまず無理でしょうし、不活化ワクチンも詰め込まれて吹出し口の近くに置かれていたら凍ってダメになってるかもしれません。そういうワクチンではちゃんと水痘ワクチンを2回接種していても効果は期待出来ないでしょう。

 

現状ワクチンを仕入れてから接種までの管理は医療機関任せになっていますが、保健所などが各医療機関のワクチン保存管理の状況を確認指導をした方が良いように思います。折角、子どもが痛い思いをして接種するんだから、ちゃんと品質が保証されたワクチンを使ってあげたいですよね。

年末年始の外来診療時間が決まりました

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。看護師、医療事務、脳波技師を引き続き熱く大募集中です!よろしくお願いします!

 

年末年始の外来診療時間が以下のように決まりました。年末は29日は通常通り診療、30日は午前のみ、31日~2日は休診、3日は午前のみ、4日以後は通常通り診療いたします。

 

昨年と違い2日に外来が出来ません。後退と思うと悔しいですがこれが限界でした。一人で外来は出来ません。協力してくれるスタッフと薬局が必要なのです。いつか年末年始の皆さんが困っているときに、しっかり診療出来るクリニックになることを目指していきたいと思います。よろしくお願いします。

f:id:yoshisei830:20171201203339p:plain

 

 

 

38℃以下でなんで検査するねん!

こんばんは。「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。看護師、医療事務、脳波技師を引き続き募集中です。

 

「熱が38℃以下でも注意、「隠れインフルエンザ」かも」という見出しのヤフーニュースを見て、今頃あちこちでこの記事見て怒り狂っている小児科医がいるんだろうなって思いながら書いています。

 

インフルエンザって強力な感染力を持ったウイルスですからね、感染している人の近くにいればそりゃウイルスが体に入ってきます。そこで、その人のもともとの免疫力が強かったり、ワクチンの効果だったりでウイルスが増殖せずに症状も出ずに(またはとても軽症で)終わることも多々あるわけです。家族がインフルエンザで高熱が出たのに自分には何の症状も出なかったからといって、ウイルスが体に侵入しなかったというわけでは無いのです。

 

ですから、38℃以下なら風邪症状があったって、そこにインフルエンザウイルスがいようがいまいが、検査で陽性だろうが陰性だろうが、インフルエンザ感染症と思わなくて良いし、タミフルリレンザも不要ですからね。普通の風邪と同じように治ります。ていうか、なんで38℃以下で検査するねん!

 

38℃以下の隠れインフルエンザなんて記事出されたら、37℃ちょっとなのに喉が痛いだけでインフル検査して欲しいとかいう人が外来に殺到したらどうしてくれるんだと、私含めて小児科医(内科医もか)はみんな怒っています。迅速検査キット会社の陰謀かと思いましたよ。

絶対に誤接種をしないために

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」で看護師、医療事務、脳波技師それぞれ募集中の吉岡誠一郎です。

 

当院では午前9~12時、夕17~19時を一般外来とし、午後14~16時を予防接種または発達外来、最近では訪問診療にあてています。予防接種を一般外来と分けたのは、特に感染に弱い乳児が多く来られるからが大きな理由です。一般外来時間帯でも当院は待合、診察室ともに感染用と非感染用で分けているので、それだけでも感染予防にはなるのですが、より確実を期してのことです。

 

もう一つの理由は、一般外来中に予防接種をして業務が煩雑になって誤接種が発生するリスクを避ける目的でした。特に開業当初はスタッフ全員が慣れていないので慎重でした。予防接種ルールは本当におかしなところが多くて、例えば生ワクチン接種後4週間は他のワクチンを接種出来ないです。間違えて接種したらルール違反として、定期接種として行政から公費を受けられない上に、何らかの副作用で健康被害があった際の補償を受けられない可能性があります。同時接種として数分間隔で複数のワクチン接種は許されるのに、日付が変わったら誤接種になるのです。おかしな話です。でも、現状ルールなんだから仕方ありません。

 

最近では予防接種スケジュールやルールがスタッフの頭に染み込み、誤接種リスクが開院時よりはるかに小さくなっていると判断して、どうしても学校や仕事で夜遅くや土曜にしか来れない方のために一般外来中でも数を制限しつつも接種するようになりました。それでも当院ではこれまでのところ1回も誤接種はありません。事務の予約受付時、看護師の母子手帳確認、医師(私)の接種直前確認と何重にも、接種間隔、時期、量などチェックして接種しています。それでも、接種直前に間違いに気付かれたことは何度かありました。

 

ワクチン接種だけでなく診療全体でも、ミスを無くすためにはミスしにくいシステムを作ることも重要ではあるけど、一人一人がひょっとして間違えているんじゃないかと不安に思い確認する気持ちを持ち続けることが最も大切と思っています。人間なんだから間違えるのは仕方がないという言いわけが許されない医療の世界で、この心構えを忘れてはいけないと思っています。

headlines.yahoo.co.jp

インフルエンザの熱でおかしな言動が出たときは、

 

 

 

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。看護師、医療事務、脳波技師それぞれ絶賛募集中です。少しでも興味があればホームページ経由メッセージでも、facebook経由でも、直接お電話でも良いのでお気軽にご連絡ください。

 

インフルエンザもちらちら出てきて、今日も一人タミフル出しました。そんな中、タミフル他のインフルエンザ薬での異常行動に関して厚労省が通知を出すというニュースを見ました。これはまあ以前から言われていたことですが、異常行動がインフルエンザによるものとか高熱によるものとかではなく、薬の影響だとする根拠はどうなっているのでしょうね。無投薬群と投薬群で、熱の有無などの条件を揃えて比較した結果で、やはり薬が原因だということになったのでしょうか。

 

現場でもインフルエンザ患者さんの意味不明な言動を心配して受診される方は多いです、当院ではほぼ全例にインフルエンザと診断した際は、何らかの抗インフルエンザ薬を処方していますし、ほとんど発熱しているので(そりゃインフルエンザですからね)、正直どれが一番関連性があるかはわかりません。でも、おそらくは熱のせいだと思います。なぜなら解熱している患者さんにはほとんど見られないから。高熱のせいでおかしな言動が出るのを「熱せん妄」っていいます。他の風邪での熱でもありますが、なぜかインフルエンザの熱で多いので多少はインフルエンザウイルスの関与もあるんでしょう。不思議ですけどね。

 

インフルエンザで熱があるときに、意味不明な言動が出てきて心配になったら、とりあえず解熱剤で熱が下がったときにどうなるかを見てみましょう。解熱時にいつも通りであればまず心配ないと思います。脳炎などなら熱に関係なくずっとおかしいはずです。その時は急いで病院へ行きましょう。

訪問ワクチン接種のすすめ

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。看護師、医療事務、脳波技師ともにまだまだ募集中です。

 

久しぶりに小児在宅医療の話です。あんまり記事にしていませんが続けています。でも、これ以上訪問先を増やす余裕がなくて新規の受け入れはストップしています。ですから、発達外来と同じ状況とも言えるのでブログに書くのも少し恐縮してしまいます。とはいえ、たまには現状報告しようと思います。

 

一般外来とワクチン外来の合間をぬって定期訪問診療をしています。患者さんの状態が悪いときには、1時間に満たない休憩時間にダッシュで臨時往診して帰ってきたり、夜外来が終わってから訪問に行ったりもしていますが、どうにも外来を離れられず訪問看護師と相談して直接主治医の病院(当院ではなく)を受診してもらうこともしばしばです。そんなので小児在宅医療をやっていると言えるのか、在宅医療専門クリニックであればどんな時でも具合が悪くなればすぐに往診してあげるのだろうに、と思ったりもします。実際のところ在宅患者さんはどう思っているのかなと。

 

そんな折に、最近久しぶりに新規患者さんの訪問をしました。定期訪問は現在増やせない状況なのですが、その患者さんはインフルエンザワクチン接種だけお願いしたいとのことでした。何でもワクチン接種のために病院受診すると緊張して具合が悪くなってしまうそうで、慣れた自宅で接種して欲しいとのこと。それならお安い御用というわけで、お引き受けしました。とはいえ、自宅だから少しも緊張しないことは無いだろうし、自宅で状態が悪化したら怖いなと思いながら、1回目のときは終始和やかな空気を演出しつつ(出来ていたかどうかは別として)、モニターをチラチラ見ながら接種しました。病院でするよりずっと落ち着いていたとのことで安心しました。そのときは当院看護師も同行したのですが、2回目接種は都合がつかず私一人での訪問でした。接種時に急変があったときに医療者が一人だと不安だったので、訪問看護師さんにお願いして同じ時間に訪問してもらいました。おかげで2回目も無事終了し、そのときはお母様の接種もしました。在宅患者さんがいると家族もなかなか病院に行けないですからね、他の訪問先のご家族も訪問時に接種させてもらっています。

 

小児在宅医療はこういった需要もあるので、興味はあるが定期訪問までは無理という小児科クリニックさんは、訪問ワクチン接種だけでもやっていただければ喜んでくれる在宅患者さんは多いと思います。ぜひとも。今回みたく医者一人訪問でも訪問看護師さんが協力してくれますしね。