栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

子宮頸がんワクチンについてはもうちょっと様子を見たい

こんばんは。

滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

これだけワクチンを推奨する記事を書きながら、ずっとほとんど触れてなかったのが、「子宮頸がん(HPV)ワクチン」です。これまで何度も書かないとと思いつつも、うまく書けずに挫折してきました。結局私自身がよくわからないというのが大きいんです。

 

まず、簡単にこのワクチンについて。子宮頸がんの多くがヒトパピローマウイルスという性交渉で感染するウイルスにより引き起こされることがわかってきました。では、このウイルスの感染を予防することで子宮頸がんを防ぎましょうということで、このワクチンが作られました。

 

で、問題は一時よく報道されてた副反応です。このワクチンを接種した子が、慢性の疼痛(頭痛、筋肉痛、関節痛など)や歩行障害、記憶障害など様々な神経系障害が長期間(年単位も)続くといったものです。だいたい他のワクチンの副反応は、接種後すぐに出現するアナフィラキシーショックか、しばらくしてから発生する一種の脳炎(急性散在性脳脊髄炎)や末梢神経障害(ギランバレー症候群)などで、いずれもほぼ確立された治療法で軽快するものでした。HPVワクチンに現れる副反応は治療法はおろか、そもそも何なのかもまだわからないんです。なお、有名な「know-vpd」のサイトなどで、慢性疼痛はHPVワクチンそのものは関係なく、注射の痛みからくるものという記載がありますが、これは多分事実ではないです。接種後、数週たってから症状が悪化している例が少なくないからです。

 

ということで、「積極的な勧奨」の一時中止状態が続いているわけです。でも定期接種です。不思議ですね、私も思います。

 

結局、私の意見としてはもうちょっと何かわかるまで待ちましょうということ。HPV(ヒトパピローマウイルス)は幸い性交渉以外で感染することは無いので、他のワクチンウイルスのように子どもが知らぬ間に感染してるということはありません。個別に相談いただいた数名の方にはお話ししました。

 

私の意見もね、子宮頸がんをろくに診てない小児科医の意見です。日常的に子宮頸がんに苦しむ方を診ている婦人科の先生からすると、腹立たしく思われるかもしれません。最終的にはメリット、デメリットを考えた上での患者さんとご家族の判断によるという、ずるい結論にいたってしまいます。申し訳ありません。