こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。
子宮頚がんワクチンがいろいろ変わりました。まず昨年12月より国内の「ガーダシル」を男子にも接種出来るようになりました(自費のみですが)。子宮頚がんワクチンはヒトパピローマウイルス(以下、英語を略してHPV)という性感染症の原因ウイルスを予防するもので、HPVワクチンと言われます。HPVは子宮頚がんだけでなく、中咽頭がん、肛門がん、陰茎がんなどの原因にもなるので男子への接種も有効です。なぜ咽喉のがんの原因になるかはご想像の通り。オーストラリアやアメリカでは既に男子も公費で接種出来ます。男性の方が性風俗店などの利用頻度を考えると圧倒的に感染リスクが高いでしょうから、男性こそ接種すべきワクチンかもしれませんね。
また話題の9価ワクチン「シルガード9」がついに日本上陸しました。当院でも今月から接種可能となっております(9歳以上の女子)。これは従来のサーバリックスが2価(全体の70%を占める2種類のHPVに対応)、ガーダシルは4価(2価に加えて、尖圭コンジローマの原因となるHPV2価を併せて)なのに対して、シルガード9はガーダシルが持つ4価にさらに5つの子宮頚がんの原因型が追加され、90%をカバー出来るようになっています。海外ではこちらが主流になっております。ただし、現状自費接種のみになり以下のようにかなり高価です。経済的余裕があるなら、お勧めしたいと思います。
当院ではサーバリックス、ガーダシルは税込16000円×3回接種で計48000円、シルガード9は税込28000円×3回接種で計84000円です。シルガード9はいつか定期接種になるのではと思いますが、この価格差なので残念ながらかなり先の話かと思います。
最後に、まだ副反応が怖くて接種を躊躇している保護者の方へ。これだけ勧められても接種せずにいて、お子さんが将来、子宮頚がんとなり命を落とす、何とか助かっても子宮を失うようなことになったら激しく後悔するでしょう。接種して恐れていた重篤な不可逆的な副反応が起きても激しく後悔するでしょう。その両者の違いは、頻度という数字のみです。子宮頸がんは74人に1人が発症するのです、重篤で不可逆的な副反応は天文学的な低頻度です。怖い怖いと我々に不安をアピールされても、その頻度の違い以上に説明することはありません。どうするかは親としての責任のもと、ご自身でよくお考え下さい。