栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

普通は意識障害を伴うてんかん発作の直後に大暴れ出来ませんよ

こんばんは。

滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

またも起きてしまったてんかん患者の交通死亡事故。いろいろ言いたいことあります。まず、この運転手が報道通りてんかんであり、怠薬していて、運転免許も無申告で取得していたなら、許されることではありません。彼を擁護する気はさらさらありません。

 

言いたいことその1。知る限り誰も指摘していませんが、本当にてんかん発作が起きたことによる交通事故なのでしょうか。運転が出来ずに人混みに突っ込むような意識障害発作の後に警官に取り押さえられるほど暴れることが出来るてんかん発作は、無いとは言いませんが、少なくとも典型的ではないです。多くのてんかん発作の後は、眠りこけてしまったり、もうろうとした状態が続くものです。これまで、この運転手に出現していた発作型と、今回の発作が同一のものかが知りたいです。

 

言いたいことその2。こういう言い方は語弊があるかもですが、この運転手が薬も飲まずに運転するような最低のてんかん患者で良かったということ。真面目に薬を飲んで、何年も発作も無くて、正式な手続きを経て運転免許を取得した患者さんでも、運転中に数年ぶりに発作が出現する可能性もあるわけです。もし、そういう真面目な患者さんが同様の事故を起こした場合、どういう言われ方をするのか心配です。てんかんだというだけで運転するなという世論になるのでしょうか。

 

言いたいことその3。結局運転中に意識障害を起こす病気なんてわんさかあるんですよ。脳出血にしたって、不整脈にしたって。てんかんってだけで運転しちゃいけないというなら、高血圧も心臓病もみんな運転しちゃいけない。

 

言いたいこと最後。報道ではおそらく「てんかん治療をまじめに受けていなかったのに運転したのが悪い」というまとめ方になるんでしょうけど、一般の人には「てんかんなのに運転したのが悪い」という認識になっていくんじゃないかが最も心配です。

 

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