栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

患者(家族)と医師の、危機感と目標の共有のために

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

前回の投稿から半年経過しました。毎回久しぶりとか言ってる気がして恥ずかしいのでもう言いません(笑)。次3年位空いたら久しぶりと言おうと思います。こんなに放置してるブログをいつ閉鎖しようかと考えてたんですが、こんなんでも不思議なことにアクセスがそこそこあり、ちょくちょく患者さんなどからブログ更新待ってますと言われたりもして、本当に有難いことです。

 

ところで当院は4月16日にひっそりと開院8周年を迎えました。8年も経ってるわけなので、いくら私が不惑で開業してもうすぐ天命を知る年齢になるといっても、考え方は変わっていくものです。その一つは治療のさじ加減。

 

開業当初はすべての患者さんに対して比較的パーフェクトに近い治療を目指していました。湿疹だったら、つるつるしとしとのお肌に。喘息なら完全に咳や鼻汁がゼロの状態にする、体重増加不良なら完璧な栄養管理など。月1回の地域の乳幼児健診で自分のところのかかりつけ患者さんに会うと、ほぼ全員が圧倒的に肌がきれいなのがとても誇らしかったのです。でも、実際に治療管理するのは患者さん自身や家族です。私は指示するだけで、薬を塗ったり飲んだりさせるのも患者さん側であり、その治療の負担もきょうだいの有無や共働きかどうか、家族の体調などでも様々でした。最近は治療方法もその家族状況に留意して考えるようになりました。

 

ただそういう家族の負担とは別に、治療目標の考え方や価値観の、家族と私とのずれを感じることがあります。親もアトピーだしちょっとくらい湿疹があったって構わないとか、体重が増えなくても元気があれば良いじゃないかとか。そこにはどうしても病気の知識の差で生まれてくるものであり、しつこく説明して納得して頑張ってもらうようにしています。今頑張って毎日保湿剤や薬を塗れば、大人になるまで肌の見た目や痒みに悩まされたり、食物アレルギーになって給食が食べられず一人だけ弁当持参になるようなことを防げること。乳児期の体重が増えてないということはただ体が大きくならないことが問題ではなく、脳神経を含めた発達に必要な栄養が不足している一生を左右する問題だということ。などなど。

 

私はそういった話をするときに、現状の危機感を同じレベルで共有するためだったり、治療やケアの重要性を伝えるために、冷たく不安を煽るような話し方になることもあります。私の会話力の問題なのでしょうが、優しい笑顔で明るく話して伝えるのは難しいのです。今までに私の話し方で嫌な気分になった方も少なくないかもしれませんが、お子さんのことを将来も含めて真剣に考えた上で、ご家族と同じ目標をもって治療をしていきたいが故の対応であることをご理解いただき、ご容赦いただければ幸いです。