栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

訪問看護ステーション「かたつむり」は、原因となった病気や事故などが発生したときから退院するまでの、本人家族、病院スタッフの気持ちにも想像して寄り添える、そして在宅へ移行してからのことを安心して任せてもらえる訪問看護を目指します

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

うち、1年ほど前に訪問看護ステーション「かたつむり」を開設しました。

 

もともとクリニックを開業したら小児在宅医療をやろうと思っていて、人にもそう言っていたし、実際に開業間もなく在宅医療を始めたのですが、いろんな事情で当初思い描いていたように十分には出来ずに、今でも細々とは続けてはいますが、期待してくれてた関係者さんたちには申し訳なく思っていたのです。そこにあるきっかけで、訪問看護という形で小児在宅医療に貢献する方法に気付いて開設することになったのです。

 

経営母体はうちの医療法人ですが、独立した訪問看護ステーションで、赤ちゃんから高齢者まで幅広く訪問しています。主治医は他の病院におられてもお住まいが近隣の患者さんは、ワクチンやちょっとした体調不良などで当クリニックを受診されている方も多いです。

 

そもそもなぜ、小児在宅医療に関心をもったかといいますと、あるエピソードがありました。今から10年近く前で、誰も覚えてないでしょうけど、私は未だにモヤモヤしてる話です。とある小児在宅医療について話し合う会で、ある小児在宅患者さんを多く診ているクリニックの先生が、「退院して在宅医療に移行した経管栄養の患者さんで1日6回注入の子がいる。1日6回の注入がどれだけ家族に負担がかかるか、退院させた病院のスタッフはわかってないんじゃないか」といったことを発言されました。(何かしらの病気などで脳に傷害を受けた子は循環や呼吸状態が落ちついても、口から食べるのが難しくて鼻から胃への管を入れたまま退院することも多いのです)

 

わかってないのはこの先生の方です。退院させた病院スタッフは何も考えず6回注入で自宅に返したわけがありません。何度も注入回数を減らす試みを繰り返してるに違いありません、ですがこれが1回量を増やして回数を減らすと必ず嘔吐したり、心拍や血圧が変動して苦しくなってしまうことが多いのです。それでも、本人にとって早く家族との生活に戻ることは情緒的な発達においても重要なことであるし、家族も負担は受け入れてでも出来るだけ自宅で看たいと希望されることも多いです。家族に負担がかかることを心苦しく思い、良い状態で退院させてあげられなかった責任を感じながら在宅へ送り出した病院スタッフのことをちっとも想像出来ないんだろうなと思いました。

 

退院後在宅医療に携わるのは、入院中からの、もっといえば原因となった病気や事故などが発生したときから退院するまでの、本人家族、病院スタッフの気持ちを想像して寄り添える、そして在宅へ移行してからのことは任せたよって病院スタッフに思ってもらえるような医療者であって欲しいです。そして、そういう訪問看護ステーションになることを目指していこうと思います。それにはまだまだ協力してくれるスタッフが必要で随時募集中です。共感してくれる看護師、理学療法士作業療法士の方で興味がある方はお気軽にお問合せください。