こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。
処方されたホクナリンテープ(ツロブテロールテープも同じ)を備蓄しておいて、咳が出るときに自己判断で貼ってる方がおられます。さらに咳で受診したときに、咳止めテープを処方してほしい、出来れば多めにくださいとまで言われる患者さんもいます。
咳が出ると受診された患者さんが来られたら、聴診器で肺の音を聞きます。咳が出ていても肺音はきれいなこともあるし、気管支が細くなっていてピーピー、ゼロゼロしてることもあるし、バリバリ肺炎の音がすることもあります。
咳が出てるのに肺音がきれいだと、鼻汁が多くて喉に流れて咳をしてたり、喉の炎症が刺激となってるとか、時にチックの症状としての咳のことがあります。
気管支が細くなる代表的な病気は気管支喘息ですね、また喘息性気管支炎といったりしますがRSウイルスなどのある種のウイルス感染でも見られます。タイトルにもあるホクナリンテープは気管支拡張剤で、こういう気管支が細くなった状態に使って気管支を拡げて咳を減らす目的で使用されます。
だから、気管支が細くなってない咳にはホクナリンテープは理論上は全く効かないのです!!!そればかりか、ホクナリンは心血管系への副作用で動悸や、体が振えたりします。それで成人の方でホクナリンテープを使えない人は意外と多くいます。成人なら動悸が出れば自分からテープを剥がすことが出来ますが、子どもが自分から動悸を訴えることも出来なし自分で剥がすこともしませんから、副作用が知らぬ間に起きてても周囲はわかりません。
だからこそ、私たち小児科医はホクナリンテープの使用は慎重に行います。必ず聴診して咳の原因が気管支が狭くなっていることである可能性があるときにだけ処方しています。ちょっと咳が出るからと備蓄してるホクナリンテープを気軽に子どもに貼らないようにしましょう。