栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

不登校とニューロダイバーシティ

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

本当は8月中に書きたかった話です。長い夏休みが終わり、登校することに困難さを抱える子どもにとって苦しい日々がまた始まる時期で、悲しいことに1年で最も子どもの自死が増える時期でもあります。

 

子どもが登校したくないと訴えたときに、どういう状況なら励ましてでも無理に行かせた方が良いのか、休ませた方が良いのか、明確に線引きすることは難しいです。ただ、自死はもちろんのこと、精神疾患などの二次障害を防ぐことを考えると、休ませざる得ないのかと思います。親にとっても子どもが登校しないという現実を受け入れるのは、苦しいことですよね。親自身に不登校経験が無かったり、学校嫌いだったけど無理やり行かされて何とかなったという経験しかないと、不登校という状態や子どもの将来への不安などで混乱するかもしれません。

 

ただ、現代は私たち親世代が子どもだったころと違い、フリースクールも増え、ネットでつながりを持つことが出来たり、不登校の子の根底にありえる発達障害の理解も進んできています。ニューロダイバーシティという言葉があります。直訳すると神経多様性。もうちょっとわかりやすくいうと、精神疾患(コミュニケーションや社会参加が苦手というレベルも含めて)があっても、それを多様性ととらえて個々の人権を尊重するという考え方です。これからの社会はますますニューロダイバーシティが尊重されるようになっていきます。

 

高いところが苦手なら1階や平屋に住めばいい、都会での生活が肌に合わないなら田舎で暮らせばいい、ってのと同じように、学校という組織の中に入るのが苦手なら自宅でオンラインで勉強したり遊んだりしてればいい。それは将来に関しても同じで、会社に入らなくても出来る仕事はたくさんあるし、仕事が十分出来なくても生活保護をうけながら本人なりに楽しく生きている人もいて、それはそれでありかもと考えられるようにある種開き直らないと、学校に行きづらくなってる子の味方となる親にはなれないんじゃないかと思うのです。