栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

夜尿症の薬物治療の開始時期はどうなっているのか?

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

夜尿症の薬物治療の開始時期について質問されたので、ちょっと調べてました。夜尿症の定義自体は5歳以上で夜間睡眠中の尿失禁が月1回以上あるものなのですが、治療のうち生活療法(寝る前の水分制限とか、冷やさないようにするとか、立ちしょんしないとか)は早めの開始を勧められているものの、薬についてはガイドラインなどを見ても明確な記載がありませんでした。クリニックや病院のホームページなどでは小学生になってからも夜尿が続いていたら開始すると書かれてるものが多くて、実際私もそうして来ました。

 

でも、何かそれって科学的ではないですよね。普通、薬の適応は年齢で決められているのがほとんどですから。小学1年生になった時点で、3月生まれと4月生まれは1年ほどの年齢差がありますものね。で、夜尿の代表的な薬であるミニリンメルト®の添付文書を確認すると6歳未満の安全性は確認されてないと表記されてましたので、6歳以上なら少なくとも保険適応ということのようです。小学生になってからは本人の自己肯定感情の育ちに悪影響があるなどから、早めの薬の治療が勧められてるのに、6歳(就学前)になって生活療法が無効なときは薬物治療をすぐ開始することを推奨されてないのはなぜなのでしょうか?

 

ホームページなどで公表してるのは見つけられませんでしたが、実際、幼稚園や保育園の年長から薬を出しているところもあると聞いてます。就学前から薬を始めることが良いことなのかどうか私にはわかりません。ただ1つ気になるのは、小学校に入るまでに夜尿を治そうという親のモチベーションがあるなら、それはあまり良くないかもしれません。夜尿の治療は、寝ている間に下着の中がおしっこで濡れてしまうという不快感から離れるためであって、変に締め切りを設けると上手くいかなくなるんじゃないかと思うからです。そこには小学生にもなっておねしょしてるのは恥ずかしいから治したいという親のエゴが透けて見えますしね。

 

小学校入学前の1年間って、発達がゆっくりめだった子が伸びてきて、全体の差が縮まる時期でもあります。生活療法だけで改善するものなら、本来は脳から分泌されるホルモンを補充するような薬(ミニリンメルト®)は使わずにいたい気もするので、私は当分は薬物療法は就学してから始める方針でいきたいと思います。