栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

みんなワセリンの使い方を間違ってる

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

ちょっとしつこいと思われてるかもですが、超重要事項なのでまた書きます。みんなワセリンの使い方を間違ってます。先生により意見はいろいろあると思いますが、私が考えるワセリンの正しい使い方を書きます。

 

まずワセリンは保湿剤ではなく保護剤と考えます。保湿剤として機能するのは入浴後などの十分皮膚に水分があるときに、それが蒸散しないようにワセリンでふたをする使い方においてのみです。それも翌朝までは到底もちません。すでにカサカサした皮膚に何度もワセリンを塗りなおしてもベタベタするだけです。最もワセリンの効果的な使い方は顔のよだれ(食べこぼし飲みこぼし)かぶれにおいてです。赤ちゃんの口周りのかぶれは一日中よだれと飲みこぼしなどの刺激があるため、1日2回のステロイドのみではなかなか治りません。ワセリンをこまめに厚めに塗って、皮膚を刺激から守る保護剤として使うと良いです。ときどき、顔の湿疹がひどい子が来られた時にワセリン使ってるか聞くと、塗ってはいるけど1日2回だけとか言われることがありますが、2回だけじゃあんまり意味ないです。例えば授乳を1日5回するなら、その直前に塗るようにしましょう。それだけでも1日5回。なんなら食後に顔をふいてまた塗るなら1日10回にもなります。でも、それでも良いです。他の人から、この赤ちゃんいつも顔てかてかしてるなって思われるくらいで全然良いです。

 

暑い時期などに体の広い範囲に保湿剤としてワセリンばかり塗ってると、子どもが痒がることがあります。おそらく汗が蒸散できなくなり、汗にかぶれてるんじゃないかと思います。さらっとしたローションタイプの保湿剤を使いましょう。

 

なお、10年前にこのブログで紹介したワセリンパックは、

とっておきの乾燥肌対策!(と思う) - 栗東よしおか小児科の院長ブログ

通常の保湿剤でコントロール出来ないくらいのひどい乾燥肌に対する最終兵器です。結構、風呂場や部屋がワセリンで汚れるらしいので、最初っからやらなくても良いと思います。ワセリンパックをした方が良さそうな肌を見たら私から提案しますが、気になるようなら直接ご相談くださいませ。

 

生まれてすぐからのスキンケアで、今後のアトピー性皮膚炎や食物アレルギーを予防出来るかがかかってます。だからこそ、今回はワセリンにフォーカスしてしつこく書きました。