栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

ビブラートは体の運動に過ぎないから正しい練習で必ず出来るようになるんだよと教えてくれる大人がいなかった

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

たまたま、今日ふと思い出した話をします。私は大学生になってから、オーケストラ部に入りチェロという弦楽器を始めました。それまでバンドでギターをやってましたが、何か新しいことを始めたい欲求と全く未経験でも歓迎という誘いにのって入部しました。チェロにしたのはギターとネック(左手で握るところ)の太さが近かったのと、音も好きだったからです。楽器ってさらさら弾いてるのを見ると楽しそう、気持ちよさそうに思われますが、そこに到達するまでは結構なつまらない基礎練習の積み重ねが必要です。私の場合はそういうつまらないと言われる基礎練習を頭をからっぽにして(または他の考え事をしながら)、坦々と何時間も続けることが苦にならなかったというか、むしろ好きだったので向いてたんだろうなと思います。

 

しかし、その中でも苦労したのはビブラートという弦を押さえている指を動かして音程をゆらす弾き方でした。これが出来ないことにはどれだけ曲を譜面通りに正確に弾いても全然気持ち良くないんです。何とかうまくビブラートをかけれるようにしたかったのですが、なかなか一定の揺れ幅をキープしたり、揺れの速さをコントロールするのが出来ずに行き詰って、もうこれは一生出来ないんじゃないかと悩んでしまった時期がありました。実際、長年弦楽器をやっている人でも、ビブラートだけ下手な人ってしばしば見かけます。ああいうふうになりたくないなって思ってたからなおさらでした。

 

そんなとき、テレビでアイザック・スターンっていう有名なバイオリン奏者が来日しててインタビューされてるのを見ました。そこで、「自分が子どもの頃ビブラートが上手く出来ず悩んでいるときに、ビブラートは体の運動に過ぎないから正しい練習で必ず出来るようになるんだよと教えてくれる大人がいなかった、そういうことを教えれあげられるようにしたい」(30年近く前の記憶なんで多分正確ではない)って話しているのを聞いて、すごく勇気づけられたことをふと思い出したんです。

 

結局、チェロの先生に、得意の頭をからっぽにして出来る練習方法を教えてもらってから(これがどの教本にも載ってないやり方で目からうろこでした)、みるみる出来るようになり、最終的にはビブラートだけは褒められるようになりました。

 

結局何が言いたかったというと、そういう悩んでいる子どもや若者に、勇気づけられるような言葉をかけたり、教えたりできる大人になれているだろうかと、50歳手前にもなる自分に問いかけてみたという話でした。