栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

抗生剤は何とかして3回飲んでください。

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

問診票に処方薬の内服回数の希望を記入するようになっているのですが、ほとんどの方は朝夕2回を希望されます。学校や幼稚園、保育所で昼に薬を飲ますことが出来ないからですね。去痰剤などの風邪薬程度であれば1日2回でも大きな問題はありませんが、抗生剤に関しては朝夕眠前になっても良いので3回内服でお願いしています。

 

抗生剤を始める時は、細菌にそれまで去痰剤などだけで穏便に対応していたのを止めて戦闘開始する時です。抗生剤はいってみれば武器のようなものです。反撃の余地を与えず、一気に叩きのめさないといけません。小児科でよく使われる抗生剤であるペニシリン系(うちではワイドシリン)、セフェム系(うちでは第一世代のケフラックスやケフラール)は内服してから効果が出て切れるまでの時間がとても短いのです。2時間くらいかけて薬物濃度はピークに達しその後たった1時間で半分に減って効果も早々に切れてしまいます。これは1回の内服量を増やしてもそんなに変わりません。単発のミサイルなのです。本来なら1日3回発射出来るミサイル(ペニシリン系なら4回発射でも可)を2回しか打たないわけですから、その効果が切れてる間に反撃の余地を与えてしまい中途半端な効果で終わり、肺炎や中耳炎、蓄膿などを重症化させてしまうのです。

 

マクロライド系(クラリシッド、ジスロマックなど)やニューキノロン系(オゼックス)は効果持続時間が長い抗生剤で1日2回でも効果があるのですが、マクロライドは当院エリアの主な攻撃対象である肺炎球菌のほとんどがマクロライド系耐性菌で無効ですし(マイコプラズマには有効)、ニューキノロンはその添付文書にもありますが、他の経口抗生剤が無効の時に限り使用する薬になっていて、切り札として温存しておくべき薬とされています。保育所で飲ませられないからという理由で使用する武器ではないのです。

 

早く確実に菌を叩いて病気を早く良くするために、頑張って抗生剤は1日3回内服させるようにして下さい。朝夕眠前になってもいいし、食前食後どちらでも良いし、多少内服どうしの間隔が詰まっても大丈夫ですから。