栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

「園から念のため検査してくるように言われました」に何とも思わないのが、大人の小児科医ってもんです

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

当院近辺ではそれほどでもないですが、草津や大津の方から来られてる患者さんにはインフルエンザが増えてきました。これだけインフルエンザ流行が報じられると実際には症状からとても考えられないような子にまで迅速検査をせざる得ないこともあり、それで診察検査後にまた結果説明のための時間を取られるので、なかなかに外来が停滞してしまい困ります。

 

そんな中、毎年この時期によく聞かれる「保育園(幼稚園、学校、職場まで!)から念のため検査してくるように言われました」。もう私も開業して4回目のシーズンなので何とも思わなくなりましたけどね。今や「あー、そうですか、別に言うこと聞く必要ないですよ」って淡々と返すようになりました。検査するかどうかは私(医師)とあなた(患者 or 保護者)で決めれば良いんですよと。いやー、私も大人の小児科医になってきましたね、イラってこなくなった自分を褒めてあげたいです(笑)。

 

一応、確認しておくと、発症(発熱)から間もないとインフルであっても検査で陽性となりません。ある報告では発症12時間以内で30%ほど、24時間以内でも60%ほどの陽性率(本当のインフル患者の中で検査陽性が出る割合)。24時間超えてくると何とか90%ほどまで上がってくるようですが。要するの迅速検査で陰性でも、それでインフルを否定することは全然出来ないんです。念のためもへったくれもないんです!

 

と言いたいけど、目の前には言われたことを伝言したに過ぎない患者さんがいるだけですし。患者さんは無駄に院内感染のリスクに晒されて、しかもけっこうな痛みを伴う検査を無知な園から指示されるという被害者ですし。検査代もタダではない、皆の保険料や税金から支払われるんです。

 

最近はインフルエンザと診断されても、抗インフルエンザ薬を処方しない小児科医も増えています(健常な子どもには必要ないという考え)、そうなると患者本人的には検査の結果がどうでも治療は変わらないわけで、ますます検査の意義は無くなっていくんだろうなと思います。