栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

発達検査をやるやらないで悩んで立ち止まっている時間がもったいない、検査しなくても現在の課題の対応を検討することは出来るから

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

なんか発達関係の話を書くと喜ばれるみたいなので、ネタが思い浮かんだときはなるべく書くことにしました。

 

時々、園や学校から発達検査を勧められてるが迷っているという相談を受けます。集団生活が他児と同じように出来ないから発達障害の疑いがあるという理由が多いようです。実際はもうちょっと遠回しに言われてるみたいですけど。

 

発達検査もいろいろありますが、だいたい一般的にされてるのは幼児だと新版K式、小学校以上だとWISC-Ⅳという発達指数(知能指数)が出る検査です。これらの検査では発達(知能)レベル(→何歳児レベルか)は評価出来ますが、発達障害の特徴である社会性・コミュニケーションの障害、多動衝動性、注意持続性、書字・読字能力などは正確に評価出来ません。つまり発達障害かどうかはわからないのです。検査結果を細かく見たときに、発達障害に特徴的なパターンを示すことはあります。例えば発達の凸凹が目立つとかですね。しかし、凸凹が無くても発達障害のこともあるし、凸凹が目立っても発達障害でないこともあります。

 

発達検査で得意、苦手の傾向がわかって、今後の生活や学習の指導方法を考える手掛かりになることはあるので、私は基本的には勧めることが多いですが、抵抗があるならやらなくて良いと思います。発達レベルは幼児なら生活を見てれば、学童以上なら学業成績もあるし、年齢相当かどうかはだいたいわかります。手帳の取得などで数値が必要なら検査しないといけませんが、そういう必要性が無いなら検査をやるやらないで悩んで立ち止まっている時間がもったいないなと思います。検査しなくても現在の課題(困りごと)への対応を検討することは出来ますから。

 

発達障害は、発達歴と診察でのみ診断されます。明確な数値が出るものではないので、診る医師によっては多少診断結果が変わることもあります。それでは困ると思われるかもしれませんが、そういうものなので許してください。でも診断名が何かであるより、いかに今の問題を解決して、その子なりの発達を伸ばしていくかを検討する方がずっと重要です。

 

因みにこのブログに割り込んでくる広告で、発達障害を脳波やMRIで診断して治療するとうたっている怪しい自費診療クリニックが出てきますが、全部詐欺なので騙されないようにしてくださいね。