栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

熱が続くときは熱型表をつけましょう!

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

今日は発熱についてです。小児科を発熱で受診することはどのお子さんでもあることですが、一言に熱と言っても小児科医がどういう情報が欲しいか、どういう情報はどうでもいいと思ってるかを書きたいと思います。

 

まず発熱というと、一般的に37.0℃以上と思われてる方が多いと思いますが、子どもはもともと体温が高めだったり、活動により変動しやすかったりで、私たち小児科医は37.5℃以上を発熱と思っていることが多いです。ですから、「37.3℃で咳と鼻が出てて。。。」と保護者が説明しても、「熱はなくて、咳鼻だけですね~」なんて医師からは言われるかもしれません。

 

発熱してすぐに来られる患者さんで、解熱剤を使っても全然下がらないことを心配して強調されることがありますが、これもだいたいの小児科医は聞き流しています。初期の発熱の勢いが強いときは、解熱剤でもなかなか下がらないものですし、それで病気の重症度が決まるものでもありませんから、心配しないでください。

 

熱が続くときですが、これが一番困るところで、今回伝えたかったことです。発熱が続くと受診されるときに、「1週間、ずっと熱が下がらへんのです!」とざっくり言われることがしばしばあります。熱が続くときは確かに異常な状態で、感染症以外にもいろんな病気を考えないといけません。何℃の熱なのか?一日中高熱が続くのか変動するのか?1日の熱のピークが変わらないのか徐々に下がってきてるのか?変動してるなら解熱してる時間が増えてきてるのか?など。そういう情報で、熱の原因が感染症なのか免疫などの他の病気なのか?感染症ならどういった細菌やウイルスなのか?熱源が肺なのか鼻や耳なのか脳なのか?などを推察します。また熱が続いているにしても、改善してるのか悪化してるのかを判断し、次の検査や治療を決めていくのです。

 

ですから、ざっくり熱が続くと言われたら、私は1日ずつ熱のピークを聞いて、少しでも情報を得るようにしてます。

私「1週前の熱が出た土曜日は何℃まで上がりました?」

保護者「39℃くらいです」

私「39.0がピークですか?」

保護者「うーん、39.4℃だったかな」

私「では、その翌日の日曜日は何℃まで上がりました?」

保護者「日曜日もそれくらい」

私「それくらいって、日曜日は39.4℃がピークですか?」

保護者「いえ、39℃まで行ってなかったかな」

 

とまあ、こんなやりとりしてるので、嫌みを言われてるように思われてるかもしれません。本当はその日の朝昼夜の体温の動きまで知りたいくらいなのですが、土曜日などに経過直接を見ていないお父さんやお祖母ちゃんが連れてこられたときはさっぱりわからないこともしばしばです。でも、これ本当に重要な情報なのですよ。

 

うちでは発熱で受診された患者さんには全員に熱型表(熱のグラフ)をお渡しして、今後熱が続くときは記録してもらうようにお願いしています。手元に熱型表が無くても、発熱時は何時に何℃あったかを記録して受診してもらうと非常に助かります。よろしくお願いします。