栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

今や主流のプロアクティブ療法ですが、保護者が薬だけ処方されて独自でやるのは絶対上手くいかないので、必ず定期通院で医師が一緒に皮膚の状態を確認しながら治療してくれるところで行ってください

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

うちでは軽度のものを除いて乳幼児の乳児湿疹やアトピー性皮膚炎はプロアクティブ療法を行うために定期的に通院してもらい治療を行っています。軽度というのは体のごく一部(顎だけとか、足首だけとか)に弱めのステロイド外用で2~3日以内に良くなって、1週間以上はスキンケアのみで再発せずに良い状態を保てるものとしています。

 

ステロイド剤のプロアクティブ療法というのは、外用で湿疹が良くなってもすぐに中止せずに、湿疹が出てない状態を保つために外用剤を数日間隔で続けるという治療です。詳しくはネットで調べたらいっぱい出てきますので、ググってください。

 

治療開始時がどんな感じになるか紹介してみたいと思います。まず最初に私と看護師から、スキンケアと薬の塗り方、プロアクティブ療法の説明を行い、ほぼ全例で「1日2回、ステロイドを外用⇒きれいになったらそこで中止せずに1日1回はきれいでも外用を継続」として1週後くらいに再診予約します。そうすると、1週後に来院されると以下のようなパターンが発生して、治療を調整します。

 

①すぐに良くなったので指示通り1日1回にして外用を続けている

⇒医師から見ても良くなってるのでさらに減量する(隔日外用にするとか)

⇒医師から見ると十分に良くなってないので1日2回に戻すか薬を変える

②良くなったが不安なので1日2回のまま続けている

⇒医師から見て十分良くなってるので減量する

③良くならないのでずっと1日2回を続けている

⇒薬の塗り方、塗ってる量などを確認して不十分なら改めて説明

⇒他の皮膚病(感染症など)の可能性を検討しつつ、治療薬を変更する

④良くなったのでもう薬は塗ってない(塗り方の説明は理解している前提で)

⇒きれいになったところにステロイドを続けるのに、保護者に抵抗があるなら無理にプロアクティブを進めず、「湿疹が出たら塗る、消えたら止めるを繰り返す(リアクティブ療法)」治療に潔く切り替える。

 

いずれも想定内で、期待してるのは一番上のパターンですが、実際には半分も無いかもしれません。でも、他のパターンでも初めの1週くらいなら全く問題なく修正出来て長期的には影響ありません。ただし困るのは④のときですが、治療は保護者の納得の上でしか進められないので仕方ありません。リアクティブ治療で100%治らないわけではないし、納得される範囲で治療進めていくしかありません。

 

そして、この後は症状に応じて1~4週間隔で通院してもらい治療を継続します。2~3か月ほどで終われるときもあれば、年単位で続けることもあります。少なくとも言えるのは、今や主流になってるプロアクティブ療法ですが、保護者が薬だけ処方されて独自でやっていくのは絶対上手くいかないので、必ず定期通院で医師が一緒に皮膚の状態を確認しながら治療してくれるところで行ってください。

 

ちなみに、ある患者さんで初診後の1週後の再診に来られずに、たっぷり外用して再診してくれると信じてたくさん処方した薬を1年以上ちびちび使い続けて、ひどい湿疹のままで薬が無くなったと受診されたときは絶望的な気持ちになりました。