栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

深刻に考えてもらうのに深刻に訴える以外に方法がありますか?笑顔でやさしく訴えて深刻に考えるようになってくれますか?

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

今更ですが、子ども育てるのってすごく大変なことです。なかなか思い通りに育ってくれません。適当にやっても勝手に成長発達してくれる子もいれば、一生懸命やってもなかなか大きくならなかったり発達しない子もいます。個人個人でも、上手く行く時期もあれば苦労する時期があったりします。

 

その苦労する時期の最初が乳児期後半から1歳過ぎ頃だと思います。生まれてすぐはひたすら母乳かミルクだけをあげてれば勝手に大きくなっていたのが、5か月頃からは離乳食を始めることになり、子どもも少しずつ自我が出てきて、何でも食べて飲む子もいれば、母乳ミルクも含めてあまり飲みたがらない子も出てきます。離乳食を進めようと思ったらアレルギーが発症しちゃったり、食性が変わるので便秘が増えるのもこの時期でそれにより食欲が落ちることもあります。そういったことから体重が増えなくなったり、ひどいと減少する子がいます。体重が増えないというのは大きな問題です(その時点の体重ではなく増加率のこと)。脳神経の発達も含めてこの時期に必要な栄養が得られてないことを示しているからです。少しくらい小さくても元気ならいいじゃないかなどと言ってる場合ではありません。低栄養で脳萎縮するほどになれば将来にかかわる障害となります。

 

乳児期の体重増加不良はいろんな原因があり、心疾患やホルモン異常、貧血など様々な疾患が隠れていることもありますが、ほとんどは上記にあげた栄養摂取の問題です。母乳ミルクの与え方、離乳食とのバランス、便秘の治療などで改善します。口で言うのは簡単ですが、実際に解決していくのは家族です。私たちは子どもを預かって育てるわけにはいかないですから、いろんな提案をしていくことしか出来ません(母乳ケアや便秘や貧血治療などはしますが)。

 

ときどき体重が増えてないことをあまり深刻に考えていない家族に出くわすことがあります。深刻に考えてない人に普通に説明してアドバイスをしても解決できません。だって深刻に考えてないんですから。深刻に考えてない人に深刻になってもらうには、私たちは深刻に訴えるしかありません。それが冷たくされたように感じたり、怒られたように感じたりするかもしれません。育児で疲れてストレスも抱えているお母さんは傷つけられたと感じるかもしれません。そういうことも重々承知してますが、ゆっくり気持ちに寄り添って説明してるほどの余裕がないくらい危機的状況もあります。どういう状況であっても問題は解決できるように、つまり体重増加が正常となるまで必ずフォローするので、信じて話を聞いて欲しいと思っています。