栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

いつでもいつまでも家族や患者の気持ちに寄り添ってくれる発達外来って

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

良い発達外来ってどういうイメージを持たれてますか?家族の話をよく聞いてくれて、共感してくれて、つらい気持ちに寄り添ってくれる外来(医師)をイメージして、そしてそれを期待して受診していませんか?

 

発達障害を扱う発達外来、心身症外来、成人なら精神科もおそらく同じと思いますが、医師がやってるその手の外来は、多分みなさんが思ってるよりも客観的に俯瞰的に患者さんや家族を診ています。なぜなら、発達障害は脳の障害なので、肺や心臓や皮膚を診るのと同様に、病歴や診察で診断してそれに対する治療を考えてます。治療は薬物もですが、日常の環境設定や患者さんへの接し方が主体となり、そこは家族に指示を出すしかないわけです。だから、いくら家族が良かれと思ってやっている対応でも、それが間違っていれば指摘するし、正しい対応が家族にとって多少難しいものでも、あえて指示することもあります。

 

家族の言うことを否定せず、ひたすら共感を示しながら話を聞いてもらえれば、家族は救われた気になるし、とても良い先生だと感謝されるかもしれません。でも、それなら聞き上手で親切なママ友とかでも良いわけです。医師は科学者として心の問題を脳の病気として捉えます、家族の気持ちに寄り添って話を聞いてるだけでは治療になりません。

 

後々の治療を上手く進めるために、初めだけあえて共感に徹して信頼を得ようとする先生もいるとは思いますし、それが良いんでしょうけど、発達外来でも緊急を要するときもあるし、ずっとそういうわけにはいかないです。もし話をよく聞いてくれて共感して寄り添ってくれるけど、いつまでも家族の対応を少しも否定もしないし指示もしない医師の外来は、長期的に見て問題解決につながる外来ではないかもしれません。

 

当院以外の精神科や発達外来を初診で受診したけど(うちはかかりつけ登録患者さん以外の発達外来初診は止めてるので)、印象が良くなかったといって再診に行くか迷うご家族が時々おられるので書きました。初診からいきなり否定されて嫌な気分になったかもしれないけど、少し我慢して続けて受診するのが良いと思います。