こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。
昨年の夏に「死」について少し勉強というか、いくつか本を読んでいました。夏休み明けに子どもの自殺が多いというのが気になって、その前に何かブログに書けないかなと思いまして。でも、あんまりまとまらず、自分の言葉で書くとありきたりな説教くさい記事になりそうで諦めたんです。
最近になって、また著名人の自死のニュースがあって、それが、「そんなことで?」というか、まあそれほど本人にとっては苦しいことだったのでしょうけども。ちょっと何か書きたいなとなりましたが、やはり自分の言葉ではハードルが高すぎて読んで印象に残った本の紹介をさせてもらうことにしました。
シェリー・ケーガン先生という大学の哲学の先生の講義をまとめた「DEATH 『死』とは何か」という書籍です。そこでは道徳的宗教的な要素を完全に除いて「死」について考察しており、特に自殺については、一言でまとめると「ほとんどの場合において合理的ではない」と述べられています。私が良いなと思ったのは「すべての場合」と言ってないところです、死んだ方がましという状況は稀ながらも存在することも述べています(全く少しも改善の見込みが無い病気の耐え難い苦痛が常にあるなど)。また自殺しようとする人に出会ったら、「その人は苦悩にさいなまれて振舞っているのであって、明晰に考えているわけではなく、情報に通じているわけでもなく、あまり有能なわけでもなく、それなりの理由があって行動しているのでもないに違いないことを想定すべき」と、つまり「死んだ方がまし」と考える人はそういう状況下で正しく自分の状況を評価できていないことがほとんどであることも述べられていました。
ちょっと難しいですけど、いわゆる哲学書ほどではなく読みやすいです。興味があったらぜひ読んでみてください。ちなみに自殺以外では、毎晩寝てる間は死んでるのと同じなんだって話が面白かったです。