栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

アトピーは出来る限り親が主体で治療を出来る年齢のうちに治すのが重要

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

アトピー性皮膚炎でデュピルマブという治療薬があります。これはステロイドやプロトピックのような塗り薬でなく、注射薬(自宅でも出来る皮下注射)で、最近になり6か月以上の子どもにも使えるようになりました。対象は既存の治療(つまりステロイドなどの外用薬)でもコントロール困難な中等度~重症の患者さんになります。

 

当院で診ている長年治療しているものの、なかなか良い状態に出来ないアトピーの子にも検討し始めているところです。モノクローナル抗体薬という種類の高価な薬であることや、注射薬ということもあり、当面は最終的な治療適応の判断や導入のために県内で一番の小児アレルギー専門医の先生に紹介し受診してもらうことにしています。

 

ただ、その重症度の判断が意外と難しいことがあります。特に小学生以上の年長児に関して。既存の治療をしっかりやっても治らないという基準があるのですが、しっかり薬を塗れているか、洗顔や保湿といったスキンケアも出来ているかの評価は難しいです。毎日ステロイドや保湿剤を十分量塗れてないだろうな、部活のあと洗顔してるかもあやしいな、という子も多いです。幼児期のように親が毎日すみずみまで薬を塗ったり、お風呂で体を洗うことも出来ないので、本人に治療の大部分を任せざるを得ません。親が子のアトピーを治したいと思っても、本人自身はそれほど思ってないことが多いですから、外来で本人に注意してもほとんど変わりません。

 

だいぶひどいアトピーだけど、多分薬塗ってないよな~、ちゃんと塗れば普通に良くなりそうなんだけど、これを重症として注射の治療を始めて良いものかと悩むことが増えたのと同時に、アトピーは出来る限り親が主体で治療を出来る年齢のうちに治すのが重要とつくづく思います。