栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

子どもの舌下免疫療法の開始時期は?正しく内服できるか?副作用を正確に訴えられるか?

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

先日、インスタのDMでスギ花粉とダニによるアレルギー性鼻炎舌下免疫療法の開始時期について質問をいただきましたので、そのことについて書かせてもらいます。

 

一応5歳から始めて良いことになっています。しかし、この治療の薬は水なしで舌の下で噛まずに溶かして1分経ったら残りを飲みこむという変わった服用方法です。5歳といえばまだ錠剤を飲めるという子の方が少ないくらいですからね、5歳から開始して良いといっても、この服用法が出来るかという問題があります。小さめのラムネかなんかで練習しても出来そうならやるというのでも良いかもしれません。

 

もう一つ問題は、副作用を正確に訴えることが出来るかということです。実は私も一時期飲んでいましたが、始めたとき結構喉が腫れる感じがしてびっくりしました。5歳の子どもで、副作用である口腔内のむくみや喉のつまるような違和感を伝えることが出来るでしょうか?程度によっては救急搬送も必要になり得る副作用なので、子どもの発達によっては慎重になった方が良い時もありそうです。

 

あと、この治療の性質上、他のアレルギー疾患が併存している場合は悪化させる可能性があります(改善させる可能性もあります)。気管支喘息発作は命に関わることもあるので注意するのはもちろんですが、私は今のところ経験ありません。ですが、アトピー性皮膚炎の中等度以上の子を4人ほど舌下免疫治療をしましたが、うち3人は痒みが悪化して開始して早々に中止することになりました。

 

また、通常の風邪をひいたりで体調不良時も舌下免疫治療は中止することになっています。この治療はいわばアレルギーの原因になるものをあえて摂取して体に馴れさせようというものなので、状況により毒となる可能性がある薬です。当院では、こういった問題を十分説明した上で治療開始していますが、耳鼻科などではほとんど説明なく薬だけポンっと出されてることも多いようです。特に幼児期(5歳~就学前)に始めるときはしっかり説明をうけて慎重に開始してください。