栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

子どもの早期外国語学習と言葉の発達について(後編)

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

子どもの早期外国語学習についての後編です。子どもが言葉を覚え始めるときは、まず話かけられる文から、名詞を切り出すことから始まります。そこの詳細の説明は省略しますが、その次に名詞を一つ一つ覚えていくわけですが、その際に「一つのものには一つの名前しかない」と考える傾向があると言われています。「わんわん」は犬であり、「にゃあにゅあ」は猫であると。この傾向を「相互排他性バイアス」と呼ばれています。実際にはカテゴリーや階層を変えると同じわんわんにも、チワワとかトイプードルと名前があるし、哺乳類でもあり、動物でもあるわけで、それは後々覚えていくのですが、覚え始める時期はこの相互排他性バイアスがあるから、短期間で多くの名詞を記憶して行けるのです。ですから、日本語の有意語もまだ十分出てない時期から、外国語の名詞を教えていくと、相互排他性バイアスを用いて語彙を増やす時期には少なからずの影響がありそうですよね。

 

2歳過ぎてわりと言葉の早い子はベラベラしゃべってる子もいるので、ここまで来てるなら日本語はもう大丈夫でしょうと思う方もいるかもしれません。しかし言語の習得はそれが母国語であっても、思われているほど簡単ではありません。名詞から始まって、動詞、形容詞と覚えないといけないし、忘れがちなのは色や数もまずは一つ一つの色(赤や青や黄色など)や数(一つ、二つ、三つ、、、、)の名前を知ったうえで概念を理解していきます。子どもが色(赤青黄緑)を理解するのは3歳0か月、3までの数の概念を理解するのは3歳6か月頃が目安なので、ベラベラしゃべってるからといって十分に母国語を習得出来ているとは限らないのです。

 

とはいえ、生まれた時から両親がそれぞれ違う言語で話しかけられる環境の子もいるわけで、そういう子はその環境下でも果敢に言語習得をしていくので、何歳から始めてもそれなりに言語は身についていくのでしょう。前回の記事でも書きましたが、言語習得で最も大切なのはコミュニケーションへの欲求なので、バイリンガル環境でも両方話せるようになるのは、パパともママともコミュニケーションを取りたいと強く欲するからかもしれませんね。

 

ですから、外国語学習がいつからが良いかどうかより、外国人とコミュニケーションを取りたいと思えるようになっているかどうかが重要なのかと思います。私が全然英語が出来ないのは、受験のためや海外の学会で話さないといけないからとかでイヤイヤ勉強していたからなんだとめちゃくちゃ腑に落ちました。

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