栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

食物アレルギーやアトピーを予防するために生まれてすぐからスキンケアをしましょう

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。看護師、医療事務、脳波技師を引き続きまだまだ募集中です!

 

前回に続き赤ちゃんスキンケアの話です。生まれて半年くらいまでの乳児湿疹なら相当ひどくても、正しくきっちりステロイドを使えば皮膚だけに限れば治せます。ただ食物アレルギーが、乳児期の湿疹で荒れた皮膚が原因で後々に発症するという説(経皮感作説)が明らかになり、乳児湿疹の治療が皮膚の見た目だけの問題ではなくなってきました。その経皮感作がどの月齢から始まるかがよくわかってないのですが、生直後から始まっている可能性も否定出来ないので、目指すところは生まれてすぐから常にきれいな皮膚を維持することです。

 

私はおせっかいと思われてそうですが、2か月のワクチンデビュー時に保護者から何の訴えがなくても皮膚が荒れていれば指摘して治療を勧めています。でも、その時点ですでに食物アレルギーになってしまっているとすれば残念。出来る限り早く、軽症の段階で治療を始めておきたいところです。生後4週まででお宅訪問している保健師さんや、産院でアルバイトで1か月健診している小児科先生にもチェックしてもらいたいですね。

 

多いのは湿疹の前段階である乾燥肌に保護者が気付いてないケースです。「保湿剤は塗ってるんですけどカサカサが治らなくて」という方が多いですが、保護者がカサカサという認識している部分はすでに湿疹になっていて、保湿剤だけでは到底治らないステロイド剤が必要な状態になっています。で、カサカサと思っている部分以上のほぼ全身が乾燥肌になっています。もう一つ共通して多いのは保湿剤の塗る回数が足りていません。入浴後の1日1回しか塗らないとか何もしてないに等しいです。せめて1日3回以上、別に5回でも10回でも多すぎて悪いことはありません、保湿剤が早くなくなって困るくらいです。このブログで紹介したワセリンパックは保湿作用としては強力ですが、1日1回入浴時しか出来ないので、必ず日中は保湿剤を追加して下さい。

とっておきの乾燥肌対策!(と思う) - 栗東よしおか小児科の院長ブログ

どの状態が乾燥肌なのかわからなければ、オムツの内と外とを比較してみると良いです。オムツ内は乾燥しにくいので、皮膚の見た目や質感に差があれば保湿が必要ということです。使う保湿剤は、受診されればヒルドイドを出していますが、赤ちゃんにも使用可能とされている市販のものでも良いと思います。 

 

食物アレルギーの予防を視野に入れて生まてすぐからでも湿疹予防のために保湿をしっかりしましょうという話でした。保湿以前に体を洗えてない汚れが原因の湿疹(首、わき、耳たぶの裏、足の付け根などに多い)や、保湿剤の添加物にかぶれてる可能性もあり、ひどいときは受診するようにしましょう。

赤ちゃんのお風呂はぬるめ、短めにしましょう

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。まだまだ看護師、事務、脳波技師募集中です、よろしくお願いします。

 

最近、湿疹が悪くなったという赤ちゃんの受診がとても多いです。でも受診時はそんなにひどくない、聞くとお風呂の後ですごく赤くなると。蕁麻疹が出たという訴えでの受診も多いです(ひどいときの写真を見ると蕁麻疹ではない)。

 

おそらくお湯が熱すぎます!!!寒くなりましたからね、よく温めないと風邪ひくと思われるのでしょうか、結構熱めのお湯に長めに入れておられるようです。赤ちゃんの皮膚は薄くて、大人でちょうど良くても熱すぎてダメージを受けますし(軽くやけどしているかもしれません)、乾燥から守る大事な皮脂も落ちてしまいます。

 

もうシャワーで洗うだけでも良いかもしれませんが、石鹸泡やしわの中の汚れの洗い残しが無いようにザブンと入るくらいはした方が良いでしょう。お湯は38℃くらいで良いと思います。40℃は熱過ぎです。大人だったら冷たくて風邪ひくかもしれませんが赤ちゃんはそのくらいで良いです。

 

世間で思われているほど、子どもが湯冷めや、寒い時に布団を蹴っ飛ばして寝たりすることで風邪ひくことはありません。ちなみに赤ちゃんに風邪をひかせたくなかったら家族が風邪をひかないこと(結局は誰かからのウイルス感染ですから)、部屋の空気を乾燥させずに温めること(ウイルスは低温乾燥環境で活性化するから)を気にして下さい。エアコンで部屋を暖めるとすぐに湿度は下がるので必ず加湿器を併用しましょう。

ちゃんと予防接種してるのに発症してる子が多い?保健所は医療機関のワクチン保存管理状況を確認指導した方が良いと思う

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。しつこいですが、看護師、事務、脳波技師を募集中です。

 

最近、ちょっと水痘が流行ってるみたいです。しかもワクチンをちゃんと2回接種してるにも関わらず発症してる方もちらほら見かけます。一定数は体質でワクチン接種していても効果がない方がいるのですが、ちょっと多い気がします。

 

それで気になってるのはワクチンの管理に関して、特に温度管理。ワクチンを保存するときの温度はワクチンの種類によっても違います。水痘やおたふくかぜワクチンなどの生ワクチンは5℃以下で凍結保存可ですが、ヒブや肺炎球菌などの不活化ワクチンは2〜8℃で凍結不可、インフルエンザやB型肝炎などは10℃まで大丈夫なようですがやはり冷凍不可です。理屈の上では全てのワクチンを2〜5℃で保存すれば良いのですが、なかなかに狭い範囲です。一般の家庭用冷蔵庫ではまず不可能でしょう。

 

当院では大学などの研究室用の保冷庫2台に保存しています。冷凍可能なワクチンは接種前までは冷凍で保存し、不活化ワクチンは庫内の場所によって間違えて凍結しないように少し高めに温度設定した保冷庫に入れています。接種直前のワクチンは全て同じ保冷庫ですが詰め込み過ぎて温度が上がり過ぎたり、逆に冷風が直撃して凍らないように気を遣っています。

 

医療機関によっては普通の家庭用冷蔵庫に無造作に詰め込まれてることもあるようです。インフルエンザワクチンくらいを余裕を持って入れておくには良いかもしれませんが(許容温度範囲が広いため)、生ワクチンを5℃以下をキープして保存するのはまず無理でしょうし、不活化ワクチンも詰め込まれて吹出し口の近くに置かれていたら凍ってダメになってるかもしれません。そういうワクチンではちゃんと水痘ワクチンを2回接種していても効果は期待出来ないでしょう。

 

現状ワクチンを仕入れてから接種までの管理は医療機関任せになっていますが、保健所などが各医療機関のワクチン保存管理の状況を確認指導をした方が良いように思います。折角、子どもが痛い思いをして接種するんだから、ちゃんと品質が保証されたワクチンを使ってあげたいですよね。

年末年始の外来診療時間が決まりました

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。看護師、医療事務、脳波技師を引き続き熱く大募集中です!よろしくお願いします!

 

年末年始の外来診療時間が以下のように決まりました。年末は29日は通常通り診療、30日は午前のみ、31日~2日は休診、3日は午前のみ、4日以後は通常通り診療いたします。

 

昨年と違い2日に外来が出来ません。後退と思うと悔しいですがこれが限界でした。一人で外来は出来ません。協力してくれるスタッフと薬局が必要なのです。いつか年末年始の皆さんが困っているときに、しっかり診療出来るクリニックになることを目指していきたいと思います。よろしくお願いします。

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38℃以下でなんで検査するねん!

こんばんは。「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。看護師、医療事務、脳波技師を引き続き募集中です。

 

「熱が38℃以下でも注意、「隠れインフルエンザ」かも」という見出しのヤフーニュースを見て、今頃あちこちでこの記事見て怒り狂っている小児科医がいるんだろうなって思いながら書いています。

 

インフルエンザって強力な感染力を持ったウイルスですからね、感染している人の近くにいればそりゃウイルスが体に入ってきます。そこで、その人のもともとの免疫力が強かったり、ワクチンの効果だったりでウイルスが増殖せずに症状も出ずに(またはとても軽症で)終わることも多々あるわけです。家族がインフルエンザで高熱が出たのに自分には何の症状も出なかったからといって、ウイルスが体に侵入しなかったというわけでは無いのです。

 

ですから、38℃以下なら風邪症状があったって、そこにインフルエンザウイルスがいようがいまいが、検査で陽性だろうが陰性だろうが、インフルエンザ感染症と思わなくて良いし、タミフルリレンザも不要ですからね。普通の風邪と同じように治ります。ていうか、なんで38℃以下で検査するねん!

 

38℃以下の隠れインフルエンザなんて記事出されたら、37℃ちょっとなのに喉が痛いだけでインフル検査して欲しいとかいう人が外来に殺到したらどうしてくれるんだと、私含めて小児科医(内科医もか)はみんな怒っています。迅速検査キット会社の陰謀かと思いましたよ。

絶対に誤接種をしないために

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」で看護師、医療事務、脳波技師それぞれ募集中の吉岡誠一郎です。

 

当院では午前9~12時、夕17~19時を一般外来とし、午後14~16時を予防接種または発達外来、最近では訪問診療にあてています。予防接種を一般外来と分けたのは、特に感染に弱い乳児が多く来られるからが大きな理由です。一般外来時間帯でも当院は待合、診察室ともに感染用と非感染用で分けているので、それだけでも感染予防にはなるのですが、より確実を期してのことです。

 

もう一つの理由は、一般外来中に予防接種をして業務が煩雑になって誤接種が発生するリスクを避ける目的でした。特に開業当初はスタッフ全員が慣れていないので慎重でした。予防接種ルールは本当におかしなところが多くて、例えば生ワクチン接種後4週間は他のワクチンを接種出来ないです。間違えて接種したらルール違反として、定期接種として行政から公費を受けられない上に、何らかの副作用で健康被害があった際の補償を受けられない可能性があります。同時接種として数分間隔で複数のワクチン接種は許されるのに、日付が変わったら誤接種になるのです。おかしな話です。でも、現状ルールなんだから仕方ありません。

 

最近では予防接種スケジュールやルールがスタッフの頭に染み込み、誤接種リスクが開院時よりはるかに小さくなっていると判断して、どうしても学校や仕事で夜遅くや土曜にしか来れない方のために一般外来中でも数を制限しつつも接種するようになりました。それでも当院ではこれまでのところ1回も誤接種はありません。事務の予約受付時、看護師の母子手帳確認、医師(私)の接種直前確認と何重にも、接種間隔、時期、量などチェックして接種しています。それでも、接種直前に間違いに気付かれたことは何度かありました。

 

ワクチン接種だけでなく診療全体でも、ミスを無くすためにはミスしにくいシステムを作ることも重要ではあるけど、一人一人がひょっとして間違えているんじゃないかと不安に思い確認する気持ちを持ち続けることが最も大切と思っています。人間なんだから間違えるのは仕方がないという言いわけが許されない医療の世界で、この心構えを忘れてはいけないと思っています。

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インフルエンザの熱でおかしな言動が出たときは、

 

 

 

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。看護師、医療事務、脳波技師それぞれ絶賛募集中です。少しでも興味があればホームページ経由メッセージでも、facebook経由でも、直接お電話でも良いのでお気軽にご連絡ください。

 

インフルエンザもちらちら出てきて、今日も一人タミフル出しました。そんな中、タミフル他のインフルエンザ薬での異常行動に関して厚労省が通知を出すというニュースを見ました。これはまあ以前から言われていたことですが、異常行動がインフルエンザによるものとか高熱によるものとかではなく、薬の影響だとする根拠はどうなっているのでしょうね。無投薬群と投薬群で、熱の有無などの条件を揃えて比較した結果で、やはり薬が原因だということになったのでしょうか。

 

現場でもインフルエンザ患者さんの意味不明な言動を心配して受診される方は多いです、当院ではほぼ全例にインフルエンザと診断した際は、何らかの抗インフルエンザ薬を処方していますし、ほとんど発熱しているので(そりゃインフルエンザですからね)、正直どれが一番関連性があるかはわかりません。でも、おそらくは熱のせいだと思います。なぜなら解熱している患者さんにはほとんど見られないから。高熱のせいでおかしな言動が出るのを「熱せん妄」っていいます。他の風邪での熱でもありますが、なぜかインフルエンザの熱で多いので多少はインフルエンザウイルスの関与もあるんでしょう。不思議ですけどね。

 

インフルエンザで熱があるときに、意味不明な言動が出てきて心配になったら、とりあえず解熱剤で熱が下がったときにどうなるかを見てみましょう。解熱時にいつも通りであればまず心配ないと思います。脳炎などなら熱に関係なくずっとおかしいはずです。その時は急いで病院へ行きましょう。