栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

赤ちゃんの保湿のちょっと具体的な話

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

コロナ以外の話もそろそろ。保湿剤の話です。湿疹で定期受診している方にも、予防接種や他の理由で受診された方にも、保湿剤をもっと使うようにうるさいくらいに言っています。

・1日2回以上塗ること、1日1回じゃ塗ってるうちに入らない、1回と2回じゃ効果が4倍違うんですよ!(⇒ヘパリン類似物質に関してです)

・保湿剤なら何でもいいです、ドラッグストアにある子どもにも使えると書いてあるものならキュレルでもピジョンでもアトピタでも、何でもいいから。

・ただしワセリンは保護剤であってそれ以上乾燥しないようには出来るけど、保湿成分は無いから保湿剤としては使えませんよ。

・とにかくベトベトになるまでたっぷり塗るようにして。塗り過ぎて肌に悪いことはない、早く無くなってしまうのが困るくらいです。

などなど。でも、なかなか改善しない方が多くて。今回はもっと具体的に保湿剤について書いてみようと思います。

 

まず、外用量に関しては有名なフィンガーチップユニットという人差し指の指先から第一関節まで出した薬の量が0.5gくらいで、手のひら二つ分の面積の外用に適したものというのがあります。これはローション(乳液)では指の上からこぼれてしまうので、ローション(乳液)なら1円玉くらいの量が相当するっていうのです。でも、この説明で外用してもらっても十分でないことが多いです。

 

それで、もっと長い期間で検討してみましょう。6ヵ月くらいまでの赤ちゃんの全身を保湿すると1回4g(ローションでも4mlくらいでしょう)くらい必要とされてます、すると1日2回として1週間で4g/回×2回×7日=56g使うことになります。結構使うでしょう。産院でもらったヘパリン類似物質の25gチューブを何か月も使ってる方がいますが全然足りてません!

ヒルドイドサイト ヒルドイドの使い方:使用量の目安 / 医療関係者向け情報 | マルホ株式会社

 

次に何を使うかですが、本当に何でも良いです。よく病院で処方されるヒルドイド(ヘパリン類似物質)にこだわっている方がいますが、これは薬価がかなり高くてむやみに多く処方することの制限を国から求められています、最近は私も治療上必要な方にしか処方しないようにしています。どうしてもヘパリン類似物質が良ければ市販もされていますから。何でも良いと言われると逆に困るというなら、セラミドが昔から保湿成分として有名なのでそれが含まれているものにしたらどうでしょう、キュレルとかピジョンとかママアンドキッズのものなどに入っているようです。剤形はローション(乳液)よりクリームの方が効果のもちが良さそうですがベトベトしますし、コスパ的にちょっとお高いですね。これから暖かくなるしローション(乳液)で良いと思います。

 

200~300mlくらいのボトルで売ってることが多いので、上記の使用量計算で1週間で56g(ml)として1か月でボトル1本ですね。1か月で1本使い切るつもりで塗りましょう。コストはキュレルなら220mlボトルが1400円くらいですね。

花王株式会社 キュレル ローション [ボトル] 【医薬部外品】

 

もっとコストを抑えたいなら、夜は本ブログでお馴染みのワセリンパックをして朝は保湿剤でも良いとは思います。白色ワセリンは500gで1000円くらい。

とっておきの乾燥肌対策!(と思う) - 栗東よしおか小児科の院長ブログ

 

生まれて最初の5か月のスキンケアが、後の人生におけるアレルギー疾患マーチを左右すると言っても過言ではありません。頑張りましょう!