栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

能力別クラス編成にするなり、少人数クラスにするなりして、ボーダーラインの子へ手間と人とお金をもっとかけてあげて欲しい

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

古くから「失敗は成功の基」とか、最近では「負けたことがあるというのがいつか大きな財産になる」とか言いますが、それは中高生とかある程度大人になってからだったり、普段から成功体験を味わっている子どもに限定したものです。

 

小さい子には圧倒的に成功体験が必要です。失敗や敗北を反省して今後につなげるといった高度なことは難しいのです。ある子どもにとって、言葉で言われても理解できなくとも、たまたま取った行動で褒められるとそれが良い行動だと学び繰り返すことが出来ます。反対に叱られるとショックを受け、なぜ叱られてて今後どうしたら良いか、その状況で言葉で説明されても理解できません。

 

なぜ、こんなことを書きたくなったかというと、発達がボーダーとかグレーとか判断されつつも通常学級に就学した小学校1年生が限界に来てる時期と想像しているからです。私は小学校への就学判定に関わったことはありませんが、保護者から相談を受けることはあります。特別支援学級の方が良いかもしれない(ボーダーラインってことで)と言われたがどうしたら良いか?と。ほとんど(多分100%)支援学級を勧めています。とりあえず、通常学級に行ってダメなら支援学級に変われば良いと思う方も多いですが、それだと散々通常学級で失敗体験をした上での変更ということになります。月~金、毎日朝から夕まで失敗状態を続ける可能性があるということですよ。精神的なダメージは計り知れないと思いませんか?

 

私は学校の状況が許すのであれば、ボーダーラインであれば支援学級から始めて、順調であればどこかの段階で通常学級に移ることを考えた方が、絶対良いと思っています。特に小学校入学時で平仮名の読み書きが全く出来ない子は、かなり要注意です。読み書きの困難はすべての学業に支障が出て、本来の得意であったかもしれない教科まで学業不振になってしまい、子どもは自信を無くしていくことでしょう。ちなみにずっと支援学級に在籍していても、学力があれば普通高校にも大学にもいけますからね。

 

とはいっても、どうやったって支援学級に抵抗を示す保護者も多いし、個人的には小1だけでも能力別クラス編成(読み書きなどで)にするなり、少人数クラスにするなりして、ボーダーラインの子へ手間と人とお金をもっとかけてあげて欲しいと思います。