栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

ヘルパンギーナが好き

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

ヘルパンギーナが流行してますね、一応説明すると夏風邪の一種で、ある種のウイルスによる咽頭炎で喉が赤くなって水疱が出来るのが特徴です。喉が痛くなって頭痛や吐気、腹痛を伴うことも多いようです。もちろん発熱もありますがそれほど長引かないし、咳鼻も少ないです。

 

この春から、他にもインフルエンザ、コロナ、RS、アデノ、溶連菌といろんな病気があちこちで流行してるんですけど、この中でヘルパンギーナが私は好きです。まず他のウイルスが嫌いな理由を挙げていきます。

 

・インフルエンザ→出席停止期間があったり治療薬があるので、鼻に綿棒突っ込む検査して診断しないといけないから嫌い。

・コロナ→診断したって小児に使える薬はないのに、やはり出席停止期間があるから検査しないといけないから嫌い。5類になったからまだ以前よりはいいですけど。

・RS→高熱も咳も強烈で赤ちゃんとかすごくつらそうで大嫌い。治療薬ないし。解熱しても咳がずっと続くし。さらになまじ検査キットがあるから、軽症な子にまで不要な検査をしないといけない空気になるときがあって嫌い。

・アデノ→これも長期間の高熱で本当に強烈。家族も心配になりますよね、でも薬もないしどうすることも出来ないんですよ。で、RS同様ですが、全然症状が違うし仮にアデノであっても薬もないのに家族に検査を要求されることがあって嫌い。

・溶連菌→抗生剤が良く効くのはいいんだけど、年長児で治療しないでいると腎炎とか合併症の確立が上がるらしいので、見逃せない。ということで、疑ったら検査しないといけない(これは鼻じゃなくて喉なのでまだ痛くないけど)。

 

そこにきて、ヘルパンギーナは喉は痛くて飲食はつらそうだけど、わりと早く良くなる、咳鼻が長引くこともない、特徴的な喉の水疱が見えればそれで診断できるし、仮にその所見が見つけられなくて見逃しても、薬もないし出席停止もない。あとなんつったって、検査キットがないから検査のしようもなし!

 

昨年からやたらとコロナの検査で鼻に棒を突っ込んだせいで、めっちゃ私は子どもに嫌われてて、便秘や湿疹の診察なのに鼻を手で隠して大泣きしながら診察室に連れてこられるんですよ。半分はみなし陽性診断(検査せずに診断すること)を不可にした滋賀県の責任です。

 

私はとにかく子どもに嫌われたくないので、あの鼻に突っ込む検査は不要なときには出来る限りしたくないんです。それで検査を希望する家族に嫌われて、口コミに☆1をつけられるくらいなんともない。そんなわけで、しばらくヘルパンギーナに幅を利かせておいて欲しいものです(いや、なんにも流行らないのが一番ですけどね)。