栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

発達障害のグレーゾーンと言われてる方へ

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

発達障害の診断に関してです。一昔前は発達障害には早期診断が大切と言われていました。当時から違和感を感じていましたが、やはり最近はあまり言われなくなりましたね。誰かが早期診断→早期絶望なんて言ってましたが、ほんとそんな感じになっていました。このへんの話は1年前の記事を参照ください。

早期診断したってガンみたいに完治するものではありません - 栗東よしおか小児科の院長ブログ

 

で、最近よく聞くのは「グレーゾーン」って言葉。発達障害と断言はしたくないけど(しかもよくわからないにもかかわらず)、「あなたの子はおかしいですよ」と保護者に伝えたいときの教育関係の方の便利な用語になっているような。それで病院行って診断してもらってこいと、出来れば大人しくさせる薬もらってこいと。

 

診断については我々の頭の中では脳みそフル回転で考えていますよ、この子は何でこういうことしちゃうのか?出来ないのか?それで、出来るようにするには周囲はどうすれば良いのかを考えるのに診断はやはり重要なのです。診断っても単に自閉症かどうか、ADHDかどうかなんて単純なものではないです。自閉症の特徴の中でもこだわりが強いタイプなのか、コミュニケーションに不安が強いのか、多動性が合併しているのか不適切な環境からの二次障害なのか、抑うつ傾向もあるかとか。そうやって保護者や本人の話を聞きながらぐるぐる考えて、まずじゃあその問題行動にはこう対応してみてはどうでしょう、と提案するのです。

 

今まで発達外来初診の患者さんには、一から疾患概念から説明して診断を告げていたのですが、最近控えるようにしています。一番はやはり内容が難しすぎて短時間では理解してもらえないのと、上記のように単純に自閉症スペクトラム(以下ASDと略します)といっても色んなタイプがいるので、あるASDの子に上手くいった対応が別のASDの子にも上手くいくとは限らないのです。上述したような私の中でぐるぐる考えていることを説明しても良いのですが、余計に難しくなるし、そもそも私の分析が正しいとは限らないのです(後から修正が必要なこともしばしば)。

 

でも、それだと「グレーゾーン」なんてこと言われてきた保護者は納得されないかもしれませんね、今日こそは白黒はっきりすると思って来られた方もいるでしょう。まず「黒」などという診断は、カナー型自閉症と呼ばれていたような全く言葉が出ず、乳児健診の度にパニックになっているような子ならともかく、かろうじてでも通常学級に就学している子に対しては言えませんよ。「白」にいたってはASD要素もADHD要素も全く無い人間なんてこの世の中にいませんよ(過去記事参照)。

自閉性を少しでも持っていれば発達障害なら、世の中み~んな発達障害です。 - 栗東よしおか小児科の院長ブログ

「グレー」なんて言葉を使うのが許されるなら、あなたのクラスの子全員グレーです。そして黒に近いグレーでも、1年後に本人の成長や担任が変わったり良い友人が出来たり、夢中になれる趣味が出来たりなんかで、白に近いグレーに変わっていくこともあります。

 

大切なのは、現在、黒に近いグレーで困っていても、白に近付けて困りごとの少ない生活に変えていくには何をどうすれば良いかを、じっくり子どもの言動を観察して考えることです。保護者だけでなく、その子を取り巻くすべての大人が。白黒(診断)つけたところで急に問題が解決するなんてことはありません。

 

そして、もう一つ言いたいことは、どんなに発達障害の名医でも、子どもを一目見て、一度保護者の話を聞いたくらいで、その子のすべてが分かることなんてありません。子どものことを理解するという点で、毎日接している家族や学校の先生に我々がかなうわけがないのです。我々が出来ることは医学知識や他の患者さんを診た経験から解決の手がかりを少しばかり提供できるくらいでしょうか。 

11月からネット予約受付開始時間が変わります。

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

11月1日から午前一般外来のインターネットによる予約(アイチケットによる順番取り)の受付開始時間を9:00から8:45に変更いたします。

 

今まではネット予約がどうしても難しい方がおられることに配慮して、8:45~9:00に来院されれば9:00以降のネット予約に先んじて順番が取れるようにしたのですが、最近では混雑する日は9時のネット予約開始時点で順番がすでにかなり進んでしまっていることがあったり、逆に空いている日はネット予約してすぐに順番が回ってくるも、すぐには来院出来ず混乱が生じることが増えてきたからです。これではインターネットで予約をしていただく患者さんに不利な状況が多くなってしまいます。熟考した上で、直接朝に来院される方にもネット予約してから来院される方にも著しく不利にならないように、8:45にネット予約開始としました。

 

8:45にすでにクリニック入口に並ばれている方にはネット予約開始前に順番を先にお取りしますので、引き続き直接来院を希望される方は8:45に来院いただければ今まで通り早めの順番をお取りすることが出来ます。

 

なお、17時からの午後診療のネット予約受付開始は今まで通り11:45です。

 

変更でご迷惑おかけしますが、よろしくお願いします。

熱性けいれんのある方はインフルエンザワクチンを接種しましょう!

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。今日3回目の更新です。

 

インフルエンザワクチンについての考えを書かせていただきます。まず、熱性けいれん(てんかん含む)のある方は接種した方が良いです。インフルエンザの熱は非常にけいれんを誘発しやすいです。なぜでしょうね?脳への作用が強いウイルスのでしょうね。熱せん妄も脳症も多いですからね。とにかく他のウイルスの熱に比べて圧倒的にけいれんしやすいです。幼稚園まで熱のたびにけいれんしてたけど小学校入ってからは治ったわ~という小学校高学年の子がいきなりけいれんしたりします。また、喘息の方も接種をお勧めします。喘息がベースにあるとインフルエンザの呼吸器症状が重症化しやすいのは有名な話です。

 

1歳未満(6か月以降)の乳児には効果が少ないとのことで接種を勧めていない医療機関もあるようですが、私は基本的には勧めています。効果が少ないといっても1歳未満で副作用が出やすいというわけでもないし、やはり脳症が1歳前後で多いですからね。

 

当院ではネットでの予約枠はもうほとんど埋まってしまってるようですが、当院定期受診中の方やかかりつけの患者さんで希望される方は、極力対応しますので直接医院までお問い合わせください。

乾燥してしまう前に保湿するのが大切です!

こんにちは。「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

連投失礼します。ブログは書ける時に書かないと、平日仕事後は疲れ切って書けないのです。

 

涼しくというか、肌寒くなってきてますね。湿疹の調子が良かった方も肌が乾燥して、痒みが出てきて、掻いて湿疹が悪化してる子が多いです。まだ暖房使うほどでもないし、それほど空気が乾燥してるわけでもなさそうですが、やはり汗をかかなくなるからでしょうか。今までに何度も書いてますが、湿疹(乳児湿疹、アトピー性皮膚炎)治療は何はなくとも保湿が大事。保湿というのは字のごとく湿度を保つことなので、乾燥してから保湿剤を使っていては遅いです(もちろん塗らないよりは良いですが)。乾燥しかけてるところ、いつも乾燥するところには、先回りして早め早めに保湿剤を使って乾燥状態にしないようにしましょう。

 

いくら保湿剤使っても乾燥するっていう方、一旦皮膚のバリア機能が壊れてしまうと乾燥しやすくなりますが、根気良く保湿してると必ずバリアが正常化して乾燥しにくい肌になっていきます。あきらめずに保湿剤を続けましょう。特にワセリンパックは強力ですのでぜひお試しください(詳細は以下の過去記事参照)。受診されれば純度の高い医療用ワセリンを処方してますが、別にドラッグストアで売ってる安いワセリンで十分です。

 

以下の過去記事も参照ください。

保湿が足りてるかどうかはオムツを開けてみて判断を。そしてワセリンパックの勧め。 - 栗東よしおか小児科の院長ブログ

とっておきの乾燥肌対策!(と思う) - 栗東よしおか小児科の院長ブログ(ワセリンパックのやり方)

シールあげます!

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

受診いただいた外来患者さんには開院以来、ささやか過ぎますがシールをあげたりしてます。当初、製薬会社さんからいただけるのをあげていたのですが、半年ほど前から業界全体の方針(?)で急にいただけなくなりました。せっかく子どもたちが楽しみにしてるのにケチですよね、もっと無駄遣いしてる部分あるでしょうに、講演会の先生の接待費とか。。。

 

そんなわけでシールを購入して配ることにしました。せっかくなので人気キャラクターのシールを選んで買っています。ドラえもんとか妖怪ウォッチとかサンリオ関係とか。そしたらですね、製薬会社がくれる微妙なかわいさのシールと違って、結構な人気みたいです。シールを楽しみにして受診してくれる子もいて、きれいにコレクションしてくれてる子もいるみたいです。たまにあげるの忘れることがあるので、もらえなかったら「シールください!」って言って下さいね。

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時々は母子手帳を開いてワクチンの追加接種時期が過ぎてないか確認しましょう

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

そろそろインフルエンザワクチン接種が始まる時期ですが、その予約時に母子手帳を確認すると、
日脳3回目(2回目から半年から1年後)とか4回目(小4)とか、
四種混合の4回目(3回目から1年後)とか二種混合(小6)とか、
B型肝炎の3回目(1回目から20-24週後)とか、

水痘の2回目(1回目から、3か月から半年くらい)とか、

おたふくの2回目とか、

いったあたりの接種もれが目立つます。

 

これは本当にもったいないことです。特に不活化ワクチン(上記でいうと水痘おたふく以外全部)は1回の接種だけでの抗体獲得はとても弱いのです。規定回数をすべて適切な時期に接種してこそ抗体獲得を出来ることになっています。四種混合や日脳とか1回だけ打ってから何年も経ってしまってると、もう最初のは無かったことにして1から接種しなおしたいと思うんだけど、今の予防接種法ではそれは出来ません。

 

子どもに恐怖を与えてまで接種したワクチンが無駄にならないよう、すべて接種しましょうね。当院で接種されてれば必ず母子手帳のすべてのワクチン欄に鉛筆で接種時期を書き込んでますので、時々は母子手帳のワクチンページを確認するようにして下さい。

ロタワクチンと腸重積と血便

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

ロタワクチンを説明するときに必ず副作用として腸重積という病気のリスクを説明しないといけません。腸が詰まってしまい、ひどいときは開腹手術をしないといけなくなる病気です。これがあって発生リスクが高まる前の乳児期早期にしか接種できないんです。

 

症状として、腹痛(赤ちゃんが自分で腹が痛いとは言えないので断続的な啼泣となるのですが)、嘔吐、イチゴゼリー状の血便とあります。血便は腸が詰まって血流障害となり腸内で出血したものが出るので、順番的には腹痛嘔吐の後に来るはずです。

 

時々、便に血が混じってると慌てて受診される方がいますが、本人は機嫌良くグビグビ飲めてたら腸重積の心配はかなり少ないです。赤ちゃんの少量の血便は時々あります、便で傷がついたのでしょうか、実際血液ではなく離乳食の一部が赤く見えたって事もあります。下痢嘔吐が無く、本人が元気そうなら様子見てて良い事がほとんどです。腸重積も血便が初発症状ってことも10%ほどはあるようなので(なぜなんでしょう、不思議ですが)、一応注意して見てて下さい。

 

とはいえ、月齢が早いほど腸重積のリスクは少ないし、冬の流行に備えるためにも、ロタワクチンはワクチンデビューの2か月になったらなるべく早く、ヒブ、肺炎球菌、B型肝炎と一緒に接種しましょう。

 

なお、実は6週から接種できるんですが、6週になってすぐに接種すると他の2か月からのワクチンが遅れてしまうし(接種後4週あけないと他のワクチンが出来ないから)、2か月未満では上手く飲めないことも多いので2か月からで良いと思います。