栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

子どもも気軽に休学出来る環境になればいいのに

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

もう6月半ばに入ろうとしてますが、新学年、特に小中高それぞれの1年生は新しい環境にようやく慣れてきた子もいれば、結局新しい環境に順応出来ずにストレスが溜まりまくった状態の子もいるかと思います。学校に行けなくなってる子もいるかもしれません。

 

子どもに限らずですが、環境からの強いストレスが続くとうつ状態となることがあります。成人では意欲低下、表情が乏しくなる、睡眠障害といった症状ですが、子どもは成人とは少し違って、情緒が安定せず、イライラして攻撃的な行動が出るといった症状が目立つことがあり、実際診断は難しかったりします。私も精神科ではないですし、あまり自信はありません。

 

細かい話をすると、何らかの精神的ストレスによりうつ状態になるが、そのストレスを取り除き体(脳)を休めると回復するのを「適応障害」、症状が長引くのを「うつ病」と診断されます。最初の段階ではどっちかわからないことも多いんですが、どちらにしてもとにかく一定期間の休養が大切とされてます。それも2~3日とかじゃありません、1か月でも足りないことが多い、3か月とか半年とか必要なことも。しかも脳を休めないといけないので、本来は勉強もせずただぐーたらしてないといけません。

 

大人だったらね、病院で診断書もらえば多少長期間でも休職出来るし、使える薬もたくさんあります。でも子どもは制度的にも社会的にもなかなか数か月とか休めないですよね。長期の病気休学が出来ないなら、せめて有給休暇みたく個別で夏休みを好きな時期に取るとかならんもんですかね。不登校という形で強引に休むことにしても、理解のない周囲からのプレッシャーで脳が休まるどころではありません。学習の遅れを心配する家族もいるでしょう。大人とは違い使える薬もほとんどありません。余談ですけど、私は小学校とか勉強することが多すぎると思うんですよ。メダカのオスとメスの鰭の違いを義務教育で全国民が知っておかないといけませんか?いいくにつくろう鎌倉幕府の成立なんて1192年じゃなかったって話じゃないですか、語呂合わせまでして覚えたのにふざけんなって感じですよね。もうちょっと必要最低限にしてあげて欲しいです。

 

不可能な願望ばかり言っててもしょうがないので、現実的な話をします。上述したように、小児のうつ状態の診断は難しいですんが、とりあえず睡眠に注目しましょう。入眠困難中途覚醒早朝覚醒とか出てきてませんか?ありそうならそこから着手しましょう。不登校になっていても生活リズム(睡眠時間、食事など)を出来るだけ崩さないようにして、どうしても環境調整しても眠れないなら入眠剤であれば小児に使えるものもあるので医療機関で相談しても良いと思います。

 

イライラや多動が目立つようになることも症状として多いので、ADHDなど発達障害の症状の悪化と思いこまないようにしましょう。実際、発達障害の二次障害となっていることも多いのでこれまた難しいのですが、発達障害としての対応を試みても改善がない(というか悪化する)ときは、思い切って休んでみることも考えましょう。